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こんな季節が悪いのだ
<海表>

「…そんな所で寝るな」
 開発用デスクでの無防備な姿…先刻のバグ騒ぎを瞬時に収めた様とは好対照、眠る姿には幼さすら。しかも実際幼子の様に熱なぞ出して倒れるのだ…寝かしては置きたいが、ぐっと堪えて肩を揺する。
「ん…あれ…海馬くん…?」
「…眠いなら仮眠室を使え」
「うん…ありがと…」
 …まだ半ば夢中に在る様子、運んでやろうかと思ったが存外しっかりした足取りで立ち上がった、だが。


 ス…と。遊戯の上着がずれ落ちて行く、たちまちほっそりとした肩が剥き出しに。
 しかも。恐ろしい程に薄着だった、下着も同然の…恐らくは急な呼び出しに着替えも惜しんで上着を引っ掛けただけで。厚手で暗色の上着から突如現れた淡い肌、その対比の威力はあまりにも…
「…どうしたの海馬くん!?」
 慌てた様子の声、どうやら動揺気付かれた。
「顔色悪いよ?本当にどうしたの…?」
 …元より己の身なぞ捨て置き他を案じる遊戯の事、服装なぞまるで構わず俺の方へと…だがそれこそが凶悪なる罠、上着がさらに落ちて行く…


 中だけは薄着…朝晩は冷えるが日中は汗ばむこの季節なら実に順当、だが。
 俺は。動く事も出来ずに…中途な気候を怨んでいた。




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