アカリ:よくさぁ、「無人島に一つだけ何かを持っていけるとしたら、何がいい?」って質問があるじゃん。
シュウ:あー、よく聞くね。
アカリ:間違ってない?この質問自体が。
シュウ:なんで?
アカリ:だってさ、「無人島に持っていける」って時点で、無人島に行くことを自覚してるじゃんか!
シュウ:……そこは言葉のあやだろ。
アカリ:それに、何か一つ持っていけるって、一つだけ持っていったってどうにもならないじゃん。
シュウ:うーん……確かに言えるね、それは。
アカリ:ね?おかしいでしょ?
シュウ:国語力0のアカリが、いきなり何を言い出すかと思ったら、結構まともな意見出すね。
アカリ:「国語力0」は余計だよ。
シュウ:じゃあ聞くけど、「もし無人島に何かを一つだけ所持した状態で放置されるとしたら、何を所持したい?」
アカリ:ぐぁ!質問を受身にしたの…?
シュウ:そ。「持って行く」んじゃなく「持ったまま放置される」なら自然だろ。
アカリ:そーだなぁ……放置されるんなら、ショッピングモールとか。
シュウ:へ?
アカリ:デパートさえあれば、無人島の生活でも快適でしょ。
シュウ:……所持する“物”の規模が大きすぎるよ!
アカリ:あ、そうかな?
シュウ:確かに……まぁ、一応理にはかなってるけど、もう少しお手ごろなところにしてほしいな。
アカリ:コンビニ、とか?
シュウ:そういう意味じゃなくて……



シュウ:質問の元が「持って行くとしたら」なんだから、持っていけるものに規模を絞って欲しかったんだけど。
アカリ:あ〜、そういう意味ね。
シュウ:他にどういう意味があるんだよ……
アカリ:だったら、あたしは四次元ポケットかな。
シュウ:マンガの世界に頼らず、現実的な答えをどうぞ。
アカリ:え〜!せっかくいい答えだと思ったのに……
シュウ:答えに詰まったからとっさに出ただけだろ。
アカリ:うぅ……だって、難しいじゃん。一個だけなんて。
シュウ:確かに、一個だけなんて無茶だよな。
アカリ:だったら、あたしを困らせて、いじめるのはやめて欲しいな〜。
シュウ:別にいじめてないよ。僕はアカリの想像力を養おうと…
アカリ:じゃあ、シュウはどうなの?
シュウ:え?
アカリ:シュウだったら、無人島に一つだけ何を持っていく?
シュウ:え〜……僕だったらね…そうだなぁ〜……。
アカリ:ほ〜ら、やっぱり困ってるじゃない。
シュウ:あ、僕だったら、海水から真水を取り出す装置かな。
アカリ:何それ。
シュウ:海水を毎日飲むわけにはいかないだろ。真水を飲んでいれば何ヶ月かは行きてられるし。
アカリ:食べ物はどうするの?
シュウ:もしかしたら、島のどこかに果物とかあるかもしれないだろ。
アカリ:なかったら?
シュウ:なかったら、真水だけで生活するよ。生き延びてみせる。
アカリ:え〜〜〜〜〜〜。
シュウ:何だよ、そのブーイング。
アカリ:もっとボケてくれるかと思ったのに〜、期待を裏切られました〜
シュウ:はい?
アカリ:だって、もっと突っ込む要素を入れ込んで話してくるかと思ったら〜
シュウ:まじめな答えでつまらなかった、って?
アカリ:うん。
シュウ:なんじゃそりゃ!単なる独りよがりじゃんか!
アカリ:あ〜あ、がっかり。



シュウ:がっかりとか言ってるけど、本当はもっと会話を長引かせて、何て答えようか考えようとしてたんじゃない?
アカリ:ぐ!……そ、そんなことは…
シュウ:じゃあ、今すぐ答えてね。アカリだったら、何を持っていく?
アカリ:ん〜……あ!海水から、
シュウ:僕と同じような答えしたら、容赦しないからね。
アカリ:ふぇ〜!?いじわる〜!
シュウ:そんなこと言われる筋合いないよ。僕はちゃんと答えたんだから。
アカリ:え〜〜〜〜〜〜〜。
シュウ:同じような表現を使いまわしないように。
アカリ:……そんな、急に質問されてもなぁ〜
シュウ:さっきから、散々会話してたし。
アカリ:思ったより、結構喋ってたよね。
シュウ:しかも、この「無人島問題」を言い出したのはアカリだし。
アカリ:うぁ〜、話ししなきゃよかったかも……
シュウ:そろそろ考えまとまった?
アカリ:う〜……うん。
シュウ:いい?ここまで引っ張っといて、くだらない答えだったら、読者の皆様がどれだけ落胆するか、わかってるね?
アカリ:な、なんでそんなプレッシャーかけるの!?
シュウ:ま、いいから、いいから。じゃ、答えてもらうよ。
アカリ:…うん。
シュウ:無人島に一つだけ何かを持っていけるとしたら、何を持っていく?
アカリ:携帯電話!
シュウ:……………………………………
アカリ:あ、あれ?シュウ君、反応薄いよ?
シュウ:ここに来て依存症を思わせる解答……
アカリ:いやいや、この答えにはちゃんとした考えがくっついてるから心配しないでいいよ。
シュウ:本当に?
アカリ:うん。それにあたし、携帯電話に依存してないしね。
シュウ:……え〜と、携帯電話で、何するの?
アカリ:出前をとる!
シュウ:……………………………………
アカリ:おーい、シュウくーん。
シュウ:何、普通のこと言ってんだよ!出前なんて無人島に来ないだろ!
アカリ:経費払えば来てくれるかもよ。
シュウ:もしかして、服とか、寝床とかも……
アカリ:えへん、最近はインターネットショッピングが流行りなのですよ。
シュウ:だろうと思った……
アカリ:それに、電話があればみんなと連絡取れるし、無人島の写真も取れるし、地図だって……
シュウ:じゃあ、電池はどうするんだよ。
アカリ:え?そんなの、乾電池を使う充電器を取り寄せればいいじゃん。
シュウ:ちょっと待て、さっきから取り寄せるばっかり言ってるけどさ……
アカリ:何か問題でも?
シュウ:無人島だぞ?宅配便でも運んできてくれないだろうし、第一そんな経費どこから……
アカリ:シュウ君、文章はちゃんと読みなさい。
シュウ:え?
アカリ:質問は「無人島に一つだけ何かを持っていけるとしたら、何がいい?」でしょ?
シュウ:うん。
アカリ:「自分の今の現状から見て」なんて、どこにも書かれて無いじゃん。
シュウ:?
アカリ:だから、自分が金持ちなのか貧乏なのか、大人なのか子供なのかの指定がないってこと。わかる?
シュウ:……………………………………
アカリ:へっへっへ〜。
シュウ:ええええええええええええええ!!!!!
アカリ:うおっ!
シュウ:そんなの、ただの屁理屈じゃないか!!!
アカリ:う〜ん、まぁ、そうとも言うかな。
シュウ:付き合いきれない……
アカリ:とにかく、あたしは無人島には携帯電話持ってくから。
シュウ:こんなのがオチとして許されていいのか……?
アカリ:いいんだよ!だって、あたしたち、いつもこんな感じで終わってるじゃない。
シュウ:それは……
アカリ:だから、これは許容範囲ということで!はい、お開き!
シュウ:………ここまで本気で落ち込ませるとは……やっぱり国語力0でいいんじゃないのかな……?



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