息は止めるものですか?
誠二の手がわたしの顔を包み込むようにしっかりとおさえていて、
(そういえば誠二の手ってこんなに大きいの、気づかなかった)
唯一自由なのは目くらいで、ここぞとばかりにわたしの瞳は自由自在をアピールするかのように
上下左右と縦横無尽に動き回った。
そう、つまり
「目、すっげー泳いでるよ」
「…あ、あはは…ね、近くない?」
だって誠二の短い前髪がわたしのおでこをツンツンとつつくの。
まるで急かしてるみたいにね?
でも、急かしたいのはわたしのほうなんです。
こんなに近い距離で見詰め合ってるなんて、なんだかものすごく居心地悪い。
こんな状態でずっといるならむしろ早くしちゃってよって思ってしまう。
「目見るまでしない」
「……」
ため息もつけないくらい近いから、ため息の変わりに
瞼を下げてついでに視線も下げてみた。
下げた視界に影がにゅっと現れて、そのままやさしい熱の塊がぶつかって。
待って、もう、ちょ、ちょっと、ねえ!雰囲気とか大切にしたいの、それなりに理想も描いてたのに…
「目、閉じて?」
「ちょ、っ」
離れたと思ったらまたすぐぱくっと塞がれてしまう。
目見てとか閉じてとか、まったくわがままな人だなあと思いながらも
不自由なくちびるを少し笑ませて目を閉じた。
(だって、生まれて初めてなんだもの)
。゜+.゜.Thank you for your clap.゜+.゜。
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