「………何、これ」 「ちょっとアンタ、ドアの前につっ立って何してるの。通行の邪魔になるでしょ」 「あ、ごめんなさいラクシーヌさん。それとおはようございます」 「おはよ。で、ボケッとつっ立ってどうしたのよ」 「実はドアにこんな貼り紙が…」 「『所長急遽出張、本日休業』?新手の早口言葉みたいね。ん〜、でも時々あるのよね、急に事務所放っていなくなる時が」 「どのくらいですか?」 「半日か一日のどっちかね。家賃の徴収から逃げてる訳じゃなさそうだし、何やってるのかしら本当」 「こ、今月の家賃は先月に先払した筈…ですよね?」 「貰ってるわよ。結構高めの依頼料が入ったからって来月分まで徴収済みね。…そうだわ!良い事思い付いちゃった」 「じゃ、じゃあ私、休みなので帰ります…」 「逃がさないわよ?アンタ、アクセルが何処に行ってるのか調査して来なさい!依頼料はこの間貰ったゴディバのチョコ…」 「い、行ってきます!」 AM8:13、事務所前。調査開始 (でも、何でラクシーヌさんが事務所の前にいたんだろう)(チョコ御裾分けに来ただけだけど、楽しくなってきたじゃない) 題して『探偵主人公、上司の秘密を追う』シリーズ。時間軸は主人公が働き始めて半年位経った頃。 探偵の仕事は基本的に収入が不安定な為、依頼料が入ったら三ヶ月分位先払するのが彼等のルール。 |
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