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(15同士で同級生なパロ)

*親も知らないはなし*


舌先で確かめるようになぞると、わずかに尖っている。
あまりに奥まりすぎて容易には触れられないが、届かないこともない。
唇をはなして代わりに指を突っ込むと、恐らくは「何すんだ」とでも言いたいのだろう、間抜けにひゃあひゃあと唸った。

「痛いの、これ」
「ひてえよ」
「ふうん」

指でも触れて確かめた。上の歯、右側の一番奥にあった歯は、その手前の少しくぼんだ歯と比べても明らかに尖っている。
ものを食べる時にすり潰すための奥歯が尖っているのだから、まあ痛いのだろう。その下にあたる部分には対になる歯もない。
指をひっこめてティッシュで拭う。指先にはまだ、犬歯とも違う鋭い感触が残っていた。

「オヤシラズって言うんだってさ、これ」
「……ああ、親知らず」
「なあ恭弥、オヤシラズって何だ?」

金髪金眼のくせに流暢な日本語を話す彼は、時々単語を知らない。それを分かるように噛み砕いて説明してやるのは僕の役目ではなかったが、
他に誰もいないこの場所で、まあ教えてやろうかと思うくらいには僕は彼に惹かれていた。

「普通は、親離れをしたくらいの年の頃に生えるって言われてる、一番奥の歯のことだよ」
「……おやばなれ」
「全く生えない人もいるらしいけど」

あなたはずいぶん早いんじゃない、とからかい混じりに言おうとしたら、彼は突然ぼろりと涙をこぼした。
泣くようなことをした記憶も、言った覚えも、ない。


(親からはなれて生きていく子どものはなし)





―――
管理人に親知らずらしきものが生えました記念(…)
地味に歯茎に痛いです(´・ω・`)

ちなみに本当に上側の右奥に記憶にない鋭い歯を発見したわけですが、
歯医者さんには行ってませんので親知らずかどうかは未確認です←








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