拍手ありがとうございます☆ Summer Dropの番外編になります。 ○千夏とクラスメイトの木下君編○ 10月は、南中学校では文化祭の行われる月である。 千夏たちのクラスは平和をテーマにした大型壁画を制作することになり、 放課後は毎日その制作に追われていた。 「ちょっと、はくちゃん!それほんと!?」 机を後ろに寄せて、広いスペースを作っている教室に、千夏の大きな声が響き渡った。 「え…うん…言ってなかったっけ?」 「木下君!!ちょっと木下君ドコ!?」 千夏の迫力に引き気味の真白をお構いなしに、千夏は立ち上がって教室を見回す。 「……は、はいっ。な、何?」 ベランダで作業していたのだろうクラスメイトの木下が、 教室へのドアから恐る恐る顔を覗かせる。 「木下君!城東町から引越してきたってほんと?」 「そ、そうやけど……?」 「ってことは、城東小学校出身よね!?ねっ!?」 「は、はいっ!」 今にも胸倉を掴みかかりそうな千夏に圧倒されて、思わず敬語になる。 「明日、卒アル持ってきてね!」 「はい!!」 そのまま勢いで返事をしてしまった。 だって顔近ぇし……、真顔だし。 本当、飛澤さんって……てか女子って恐ぇ。 「千夏ぁ、オレのは?オレの卒アル見たないかぁ?」 木下と共に作業していた辰雄が木下の横に来て、千夏の方へと身を乗り出す。 「見たくないわよ!!」 ───興奮覚めやらぬ千夏の被害者が更に追加された。 「…なぁ、キノ?ちょっとヒドくね?」 「……ほんと女子って、なんであんなに恐ぇんだろ……。」 ベランダで肩を並べて秋の空を見つめる二人の背中には、哀愁が漂っていた。 そして次の日の朝。 「謙太君めっちゃかわいい!!購買委員やったんやー!」 「そうやねー。カワイイカワイイ。」 教室では、木下から半ば強奪した形の城東小学校の卒業アルバムを、 穴が開きそうな程見つめる千夏と、適当に相槌をうつ朋子の姿が見られた。 end |
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