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title:古泉に眼鏡
夏も近づいてきたある日の週末。
俺たち、SOS団は不思議探索とやらのためにいつもの駅前に集まった。
いつもの喫茶店で、これまたいつも通り俺のおごりでお茶を飲みながら。
ハルヒの作った爪ようじのくじを引いて、組み合わせを決めたところ。
俺は印つき。
その相手は、古泉だった。
喫茶店を出て、「これじゃ男女別れただけじゃない」とぶつぶつ文句を言いながら、朝比奈さんと長門を引っ張っていくハルヒを見送ったあと、俺と古泉はなんとなく歩き出した。
すると、古泉がジャケットの内ポケットから見慣れぬものを取り出し、顔にのせた。
「お前、メガネなんかかけるのか?」
「これは度入りではありませんよ。サングラスです。
オシャレメガネといってもいいでしょう」
いや、別に言い直したからといって面白くはないぞ。
むしろ気色悪さが増しただけだ。
と定例のツッコミを入れたいのではなくてだな。
まず、俺はあえてオシャレメガネとやらにそんなタイプのメガネを選ぶお前のセンスに物を申したいわけだよ。
一般のカテゴリに属する人間ならばそのような場合、セルフレームと呼ばれるプラスチックでできた色鮮やかなものを選ぶんだ。
まぁ、百歩譲ってメタルフレームをよしとしたとしてもだな。
お前のようにフチなしを選択する人間はほぼ皆無だ。
雄の三毛猫ほどに希少価値が高いに決まってる。
そうだよ、俺は今、幻の珍獣を目の前にしている気分だ。
「似合いませんかね?」
しょぼくれた顔をして見せてもまったく可愛くない。
むしろ嫌味なだけだ。
そんなものでも似合っちまう高校生ってだけで怒りも呆れも通り越して脱力しちまう。
一世を風靡した脱力系クマも真っ青だ。
「まあ、滅多にかけませんからね」
古泉は、いつもの、芝居がかった調子で肩をすくめた。
「僕の目は色素が薄いでしょう?
聞いたことがありませんか?色素の薄い目は紫外線に弱いんです」
真夏の団活でお前がそんなものをかけているのを見かけなかったんだが。
…というか、お前の目の色素が薄いのなんて今更見なくても分かっている。
顔を近づけるんじゃない。
「SOS団の活動中にかけていなかったのは、僕のイメージ作りの一環とでも申し上げておきましょうか。
メガネをかけない僕が彼女の中のイメージとして成り立っている以上、それを崩すのはためらわれまして」
クリアグラスの奥で、いつものように目が細められた。
「あなたのお気に召さないようでしたら、これは外しますが」
「別に構わん。そんなサングラスを掛けてるやつが珍しかっただけだ。
それよりも、はやく不思議探索とやらに出かけないとハルヒに怒鳴られるぞ」
古泉に背を向け、止めていた歩みを再開した。
先を取った俺に、古泉は悠々と追いつき、肩を並べてくる。
ちらりと盗み見た、普段とは違う印象の古泉の顔はやけに新鮮だった。
こいつは本当に嫌味なヤツだ。
だから、絶対に、メガネが似合ってるとは言ってやらん。
ものすごく頑張ってキョンデレを目指してみました。
単に古泉に縁なしサングラスをかけてほしかっただけ。
絶対、微妙なセンを選んでくるはずだ、というわたしの中の古泉イメージが↑を選択させたのでございます。
絶対、無難なサングラスは選ばんだろ、と。
色素が薄い、云々のあたりは勝手なあとづけ設定でございます。
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