「・・・初めまして」












籠の鳥〜old days〜












まだ暖かくなり始めた初夏の夕暮れ、友達と遊ぶのが何よりも好きな俺の前に、城からの使いの者に連れられ、彼は現れた。






「初めまして。えっと・・・この子、誰?」
「越前リョーマくんです。しばらくの間、この国で預かることになりました」
「ふーん・・・そうなの?」
「はい、英二様より少し年下なので、仲良くしてあげてくださいね」
「うん!よろしくね、リョーマくん」
「よろしく・・・お願いします・・・」






ぶっきらぼうで、人と仲良く遊ぶのが嫌いそうなその子。
俺とは正反対に、ただ人と触れ合うのを嫌い、一人で遊んでいるのを無理矢理に引っ張って、城から出かけたりもした。
姉さんも兄さんも大分年上で、この国の後継者になるべき兄さんにその力はなく、一番年下である俺に、その力が受け継がれているらしく、産まれたときから一人っ子同然と育った俺は、弟が出来たみたいで嬉しかったんだ。






「何・・・どこ行くの・・・」
「みんなの所!リョーマ、お城で遊んでいても楽しくないでしょ?」
「い・・・いい、よ・・・」
「ダーメだよ!だって、俺は一緒に遊びたいもん!」






ただ、純粋にリョーマと遊びたい。
それだけだったんだ。
ただ、任されているだけじゃなく、弟と一緒に遊びたい。
ただ、そんな軽い気持ちからだった。












不二と、手塚と、大石と。
みんなと一緒に遊ぶのが好きだった。
遊ぶことの楽しさをリョーマにも教えてあげたくて。
どこに行くのも無理矢理連れていった。
そして1週間もすれば、リョーマはもう、無理矢理じゃなくて自分から着いてくるようになった。






「英二、今日はどこに行くの?」
「んーと、河!みんなで川遊びするんだよ!」
「・・・俺も、行っていい?」
「もっちろん!そのつもりだもん!」






いつも黙って俺の傍にいたから。
傍にいるのが、?当たり前?になっていたから。






だから、気付かなかった。
リョーマ・・・が、俺の傍からいなくなるって事。



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。