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■on cloud nine appendix 1/3 : イリエ編

 夏祭りは、舞浜が一番賑やかな夜だ。
 普段は人気のない神社に、舞浜サーバー中の幻体が祭りを楽しむために集まってくる。そして祭りの演出のために、セレブラントの目にも映るように、ありえない人影までが投影される。
 だが、イリエの前に余分な人影はなかった。あるのは、射ち落とされるのを待つ的だけ。
 静けさの中で、浴衣を纏ったイリエは手にした銃の引き金を引く。パン、と乾いた音がして、また一つ的が倒れた。ここまで全弾命中、残るは真ん中の大きなウサギのぬいぐるみだけだ。
「腕は落ちていないようだね」
 傍らからそう声を掛けられても振り向くことなく、イリエは口の端を上げて薄く笑った。笑みを含んだその瞳に真剣さが戻る。
 パン、と響いた音は同時に二発。ぬいぐるみは、見事に倒れた。
「成り行きはいつもと同じか」
 傍らでそう言って笑う相方を、イリエはようやく振り向いた。二人で倒したウサギのぬいぐるみを挟んで、右側の的はイリエ、左側の的はクロシオが仲良く分け合うように射ち落としていた。
「だってそういう世界だもの」
 そう笑って、イリエは倒した的を元に戻し始めた。最後に残したウサギのぬいぐるみに手を掛けようとすると、それはすっとイリエの前に差し出された。
「持って行きなよ」
「良いの?」
「そのくらい、良いだろう。今夜は、夏祭りなんだから」
 そう言うクロシオの顔を見遣って、イリエは微笑んでウサギのぬいぐるみを受け取った。大人びた女郎花の浴衣を纏う少女の顔に、年相応の幸せそうな輝きがあった。



 イリエ先輩どんなイイコトあったんですかー? って訊いたらこんなん出ましたよ。さすが静岡サーバー出身の元エースコンビってことで(^^

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