1.見当もつかず
「あれ、カミナは?」 お世辞にも早いとは言えない時刻の食堂で、特に待ち合わせたわけではないけれど いつも狙って同じ時間に食卓につく蒼い髪の少年の姿が見当たらず 既に食事を終えて雑談している連中に声をかける。 「そういや昼飯ン時以来、見かけてねえな。」 行儀悪く爪楊枝で奥歯を突きながら、隣の椅子にどかんと足を乗っけてふんぞり返る キタンを横目に無意味に食堂をもう一度見渡してみるが、目当ての姿はあるはずも無く。 「ふーん、どうしたんだろ。」 他のメンバーの様子からもまだ夕食は済ませていないようなので しばらくしたらやってくるかと、適当に見繕った食事を持って、輪の中に入る。 「気ぃつけておけよ、シモン。」 「ん?何が。」 「あの頃の年齢のヤツって、たまに俺達にゃあ見当もつかん事を考えてたりするからな。」 自分にも覚えがあるからな、なんて言いながらてへへへと笑った目の前のオヤジの言葉に苦笑いを返しつつ 「いくら広いとはいえ、限られた艦内から出ている事はないだろうからいずれ出てくるだろうよ」 だからとりあえず飯だけでも食っておけ、そう優しく告げられたダヤッカの言葉に従って 「とりあえず」俺は、目の前の食料摂取に集中することにした。 つづく。 |
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