「何でそんなに熱心なんだ?」


ふと、口をついて出た言葉。

ずっと感じていた疑問。

そうしたら、目の前の人はふわりと笑ったんだ。






 オ チ タ 日 






えーと…自己、ホシン?って言うんだっけか?

教頭に面倒くさい(って自分で言うのもなんだかな)仕事を押し付けられたんだろうって、皆言ってるぜ?

俺だってそう思う。

どう考えたってオカシイだろ?

高等部に赴任したてで、俺達class-Xの担任なんてさ。

辞めたいなら辞めちゃいな?

翼に頼めば何とかなるだろ?

何度もそう言ってるのに、この人は笑顔で首を横に振る。


“私が、したいことなの。”


何が?

補習が?

だって残業じゃん。

俺、バカだよ?

アンタを困らせるだけの問題児なんだぜ?

俺が何て呼ばれてるかなんて知ってるだろ?

………いや、そっちじゃなくて。

あっ!いや確かにアニマルマスターだけど!

そうじゃなくて!

…ストリートで喧嘩してんの、その目で見ただろ?

なのに、何で付きまとって補習補習言えんの?






浮かぶのは疑問ばかり。

この人が何を考えてんのかサッパリわかんねぇ。

自分の得になりもしない、問題児の面倒押し付けられて、でもそれがやりたいことだなんて。

馬鹿げてる。

信じらんねぇ。

………でも、何でだろうな。

俺を追っ掛けて来るその足音が、遠くから呼ぶその声が、近くで見るその笑顔が、

こんなにも嬉しい、なんて。

教えてくれる?

この感情が何なのかを、さ。
















  サア、ニオチマショウ。




















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