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「メモリーカード」(エド父&DD DD視点) byましゅろ~


 平均寿命の半分程度でしかない人生だが、そこまで後悔しているわけではない。人並み以上の栄誉は手に入れたし、結構自由にやらせてもらっていた。ただ、心残りがあるとすれば――
「エドのやつ、元気にやってるかな」
「元気に決まってるさ」
「っ!」
 ふって沸いた声に慌てて振り向けば、蒼色の瞳がこちらを向いていた。彼の子供よりは穏やかで、その分深みのある光。
「いつからいたんだ」
「ついさっきから。いやあ自由に動けるのはいいものだね」
 そう言って大きく伸びをする。こうして話すようになってから、彼が饒舌である事を知った。
「Bloo‐Dの中にいた時は身動き出来なくて辛かったよ。自分でデザインしたとはいえ、あんなに居心地が悪かったとはね」
 今度は入りやすいデザインにしようと呟く彼に、一言告げておく。
「今更デザインしてもカードには出来ないだろう」
「確かに。生きていた頃は暇になったらしたい事がたくさんあったのに、いざ暇になると何も出来ないものだな」
 聞くともなしに聞いた台詞で、思い浮かべるのは先程気にかけた子供の事。父親の敵である自分を慕った素直すぎる子供。
「もう少し構ってやれば良かったか」
「平気さ。あの子は強い。私達とは比べ物にならないくらいね」
 悟ったような表情を見ると、親子なのだと実感する。どこか達観した、現実感のない視線。
「強くても、寂しいと思う気持ちくらいある」
「……そう、だな」
 つい出た台詞に目を見開くと、彼は俯いた。傷付けてしまったらしいと気付き、軽い口調で言い添える。
「ま、こっちに来たら今までの分まで構ってやればいいさ」
「……あんまり早く来られても困るけどね」
「違いない」
 喉の奥で笑うと、ポケットからカードの束を取り出す。死んだにも関わらず懐にあった唯一の相棒だ。一枚くらい抜けているが、さほど問題ではない。
「さて、暇潰しに相手してもらおうか」
「またかい。本当飽きないね」
「アイツが来るまで腕が鈍っちゃ情けないからな」
 ろくでも無い『親』だったから、罪滅ぼしにもならないかもしれないが。
「可愛い子供の為に頑張るのも悪くないだろ」
 口の端を上げて言えば、彼は子供みたいに笑った。




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