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  帰り道

「そう言えば、あの婚約指輪はどうした?」

 ぎくりと、桃子の肩が震えた。

「し、しまってあるよ……多分」

 あの後怒りに任せて川に投げ捨てたとは言えず、歯切れが悪くなる。

「……小川、嘘ついてないか?」

「な、何のこと?」

 思い切り視線を逸らしてしまった桃子は、さらに裏返りそうになった声で答えた。

「嘘ついたらキスし」

「ごめんなさい捨てました」

「……おれ超ショック」

「……ごめん」

「じゃあお詫びにキ」

「本当にごめんなさい今度何か奢るからそれで許してください」

「なあ、そんなにおれとキスするの嫌か? 別に初めてじゃ……なんで耳ふさぐんだよ」

「何も聞こえない何も聞こえない」



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