「カイネ!エミール!」
「あっおかえりなさいニーアさん、もう用事は済んだんですか?」
「ああ、少し頼まれごとを引き受けてきただけだから」
「また面倒な依頼じゃないだろうな?」
「はは・・・カイネにとってはそうかもな。仮面の街にお使いだ」
「フン、つまらん」
「戦うことしか頭にないとは低俗だな、下着女め」
「死なすぞ、クソ紙」
「二人とも落ち着けって。ああそうだ、今日はお土産があるんだ」
「お土産?なんですか?」
「今日の依頼は仮面の街にこのクッキーを届けることなんだが・・・これと別に売り物にならないクッキーを分けてもらえたんだ」
「売り物にならない?」
「形が少しばかり歪というだけで売り物にならないらしいな。まったく人間というものはすぐ見た目で物事を判断しようと・・・」
「ほら、これなんか真ん中に穴が開いてるだろ?こっちは折れ曲がってる」
「おい!我の話を聞かんか!」
「シロの話は長いからなぁ・・・カイネは興味ないか?」
「食えれば何でもいい」
「はは、カイネらしいな」
「あっこれ・・・」
「どうした?エミール」
「うーん・・・」
「エミール?」
「この形・・・なんだか見覚えがある気がして・・・。・・・あっこっちも・・・」
「穴の開いたクッキーに折れたクッキー?」
「ずっと昔に・・・あっ!」
「何か思い出したのか?」
「アルファベット・・・」
「アル・・・なんだそれは?」
「成程、アルファベットか・・・。随分と懐かしい響きだな」
「シロ、知ってるのか?」
「記憶は無くしたが〝知識〟は残っておる・・・とするとこれは〝オー〟と・・・〝ヴイ〟か」
「オー?ヴイ?」
「失われた言語だ。お主らが知らんでも無理はない」
「あの・・・もっと見せてもらってもいいですか?」
「ああ、構わないぞ。これとかどうだ?その、アルファ・・・みたいじゃないか?」
「えっと・・・」
「馬鹿者!適当に言うでない!そんなミミズのような文字あるか!」
「えっ、えっと・・・み、見ようによっては・・・〝エム〟に見えるかもしれません」
「エム?これはエムっていうのか。・・・カイネもやらないか?」
「・・・楽しそうだな」
「ああ、エミールも楽しそうだからな」
「まったくお前は・・・」
「カイネも、やらないか?」
「断わる。興味がない」
「見ろエミール!この曲線、完璧な〝エス〟だぞ!」
「わぁっ!本当です!あっこっちには〝アイ〟もありました!」
「・・・シロも楽しそうだなぁ」
「・・・・・・・・・」
「ニーアさん!これ、珍しくないですか?〝イー〟っていうんです」
「面白いな、どうやったらこんな曲がり方出来るんだ?」
「どうやら店主は色々な形を作ろうとしたらしいな」
「・・・これは?なんという形だ?」
「カイネさん・・・っ!」
「ふん、なんだかんだ言ってお主も参加しておるではないか」
「・・・・・・・・・」
「それは・・・えっと、〝エル〟っていう文字の形です・・・あっ」
「どうした?」
「これ・・・今カイネさんが見つけてくれた〝エル〟が・・・えっと、ここで・・・」
「文字を繋げて言葉を作っておるのか?」
「はい。さっきの・・・〝オー〟と〝ヴイ〟・・・〝イー〟・・・」
「・・・・・・。エミール、言いたいことは分かったが〝オー〟と〝エル〟が逆だぞ」
「えっ!す、すみません」
「なんて読むんだ?」
「えっと、確か・・・・・・・・・ロブ?」
「ラヴだ馬鹿者!」
「すっすみません!!!あの、母国語じゃなくて日本語でもないので・・・」
「ぼこ・・・に・・・ん?」
「といっても母国語もほとんど覚えてないんですけど・・・英語のラヴは視覚的に覚えてて・・・」
「・・・で、意味はなんだ」
「凄く凄く・・・大好きって意味です」
「・・・エミール・・・」
「えへへ・・・ちょっと恥ずかしいんですけど、僕にとってニーアさんもカイネさんもシロさんも、とても大好きな人たちだから」
「我は本だがな」
「シーロ、水差すなよ。照れてるのか?」
「・・・・・・ふん」
「あ、あの・・・だから・・・これからも・・・えっと・・・」
「・・・ああ、よろしく頼む。頼りにしてるぞ、エミール」
「・・・・・・まぁお主の魔力は確かに貴重だからな」
「素直になれよ、シロ。・・・カイネ?」
「カイネさ・・・わあっ、くすぐったいです・・・!」
「カイネも素直じゃないなぁ」
「・・・・・・フン」
「皆さん・・・これからもずっと、よろしくお願いします・・・っ!」


(ずっとずっと、一緒にいられたらいいなぁ)




なんとなくエミールはヨーロッパ系だと思ってる\(^o^)/何故かイメージドイツか中東でした。なんで?(ほんとに)
ハルアがいたらきっと「食べ物で遊んじゃいけません!」って皆怒られてましたねっていう。



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