あ:飽きぬ存在(ポプ)
ぬるい様な温度の空気が少し薄暗いバーの中に充満していた。
煙草を吸っている者もいるがそこまで澱んではいない。
カウンターではなく、小さなテーブル席でKKとMZDは飲んでいた。
くだらない話から小難しい哲学的な事まで。
会話は基本的に尽きない。
「神様で在るってどんな気持ち?」
グラスを傾けながらKKがぽつりと呟いた。
顔が若干赤味を帯びて少し酔い気味なのが見て取れる。
「どんなー…じゃぁさ、KKが呼吸するってどんな気持ち?」
「別になんも考えねーけど」
「そゆこと。人は人であるべくして己が人間である理由を探そうとするだけだ」
「そんなもんかー?」
「そんなもんだよ」
眉根を寄せてむっとしたような表情を浮かべるKKに向かってMZDはデコピンをくれる。
「っ痛!」
「旨い酒とつまみ、あとお前。とりあえずはそれで十分じゃねーの?」
「・・・ここはエムのおごりな」
答えは聞かないとばかりにKKは目の前のグラスを一息に煽った。
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