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「スピード違い」


自分もやはり男だから歩くスピードは女性陣と違って早い。
多分、一歩の大きさが違うのだ。
ナタリア以外は軍属だから訓練を受けているとはいえ、基礎体力も違うし、おぼちゃま育ちだからという理由で最後尾を付いていくのもやっとだった冒険の初めも、今では先頭も苦なく勤められる。
それでも……将校クラスの人間だからだろうか。
どうしてもジェイドには歩くスピードが敵わない。
それは旅の途中でも、街中でもそうだ。
いつでも自分より一歩先を歩いて、こちらを振り返ってくる。正直、悔しいと思う。
「ジェイド、俺より先を歩くの禁止!」
だからちょっと言ってやった。
今日も一生懸命、彼の背中を追い抜いて正面に回りこんだ。
ほんの少しだけ肩で息をしてしまったが、ご愛嬌だと思って欲しい。
するとジェイドは一瞬あっけに取られていたが、すぐに眼鏡の奥を細めて更には身体を折って全身を震わせた。
「く、くくく。いつも突然ですが、いきなりどうしました?」
「いーから!お前は俺の後ろを歩く!!」
なんだか思いつきの行動が恥ずかしくて笑うジェイドをちゃんと見れなかった。
「はいはい。なら、隣り同士で歩きましょうか?」
妥協してくださいとジェイドが手を握った。
いつか、必ず歩いて追い越してやる!そう誓った昼下がり。




END









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