俺からのプレゼント


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「ねぇ、リョーマ。」


あんたはいつもそう俺に聞いてくるんだ。
学校からの帰り道。
俺が駅まであんたを送っていくその一時。


「私のこと・・好き?」


だから俺はいつもと同じ返事を返す。


「また、その話?」


いつもと同じ帰り道の、いつもと同じ会話。
俺が「また?」と聞けば、
あんたはいつも少し怒ったような顔をする。
それが可愛くて、見たくて、意地悪をする。
でも、今日は少し違う。
怒ったような顔ではなく、悲しそうな、泣きそうな顔を俺に向けた。


「だって・・今日は・・。」


何が言いたいのか一目瞭然。
ちょっと落ち込んだように見えるあんたは
怒った時よりも一段と可愛く見えて、また意地悪をする。


「今日?何かあったっけ?」


今度は本当に泣きそうだ。
あと10秒も放っておけば泣き出してしまうだろう。
その前に俺は言う。


「あんたが言いたいのはこれのことでしょ。」
「へ・・?」


俺が出したのは小さな箱。
中にあるのは指輪。


「誕生日おめでとう。」


今日はあんたの誕生日。
――俺が忘れてるとでも思ったわけ?
――俺ってそんなに信用ないの?
そう聞けば「そうじゃないけど」という答え。


「で、いるの?いらないの?」
「あ、いるいる。絶対いる!!」


はい、と言って渡せばほら、あんたはすぐ笑顔になる。
――単純だね。
  でも、そんな所が俺は好きだよ。
プレゼントを貰って喜んでいるあんたをみる。
油断しまくりの浮かれ顔。


「ねぇ。」
「ん、何?」


そう言って俺のほうを向いたあんたへの俺からの攻撃。
不意打ちのキス。
唇に軽く触れるだけのキス。
それに驚いているあんたにもうひとつ。


「俺、あんたのこと好きだから。」


普段は絶対言わないその台詞。
今日は特別に言ってあげるよ。
あんただけが言わせられる、
俺からの言葉。
俺からあんたへの言葉のプレゼント。
毎年、あんたの誕生日の日だけ限定ですきなだけ言ってあげるよ。




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拍手感謝小説第1弾。
何故テニスなのかと言えば、書きたかったから。
何故リョ−マなのかと言えば、好きだから。
1ヶ月ごとに変えようかと思います。
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