妖収拾屋とその助手 1 あたしの人生絶不調。 だって、女子高生って言ったら、友達と遊んで、好きな人にきゃーきゃー言ったりしてピンク色の華やかな生活を送っているものなのよ。 そう、周りにいるべきなのはヒトであって、こんなのあたしは全く、これっぽっちも望んでない!! 「先生!!」 勢い良く扉を開けて、部屋に駆け込む。 部屋の奥にある机に腰掛けている人物はあたしの声に顔を上げて優雅に笑んだ。 「ああ、久しぶりだね。また変なの連れて来て」 「好きで憑かれてるんじゃありません!!」 ヒトが必死なのに、このマイペースっぷりがむーかーつーくー!! ていうか、変な先生に変だとか言われちゃうもんが憑いてるのかと思うとすっごく嫌だ!! 「とってください!! 一刻も早く!!」 「何してくれる?」 「はあ? お金とるんですか!!」 「だって僕プロだし」 「助手が可愛くないんですか!」 「この前やめるって言ってなかった?」 「ぐぅっ・・・!!」 だって、あたしはこんなところで貴重な青春の時間を費やしたくないのよ!! でも、変なのに憑かれっぱなしなんて嫌だ!! 「助手続けさせてください。オ願イシマス・・・」 く・・・屈辱!! 大体、助手って言ったってただの使い走りじゃないか!! 「仕方ないなぁ・・・」 ぴとっと額にお札を貼られた。 なんて古典的な方法・・・と思いつつも、途端に変な感じが消えたので馬鹿にされてるわけではない。 こんなではあるが、除霊の腕だけは良いのだ。 ていうか、そうじゃなかったらこんなとこ来ない。 「この札一枚でいくらとるんですか」 「それは依頼人のお気持ちで、だよ」 どうしよう。先生の笑顔がめちゃくちゃ胡散臭い。 「さて、千早くんが戻ってきてくれたことだし、行こうか」 「・・・どこにですか」 「勿論、仕事」 やっぱり胡散臭い。 「どこに行くんですか」 「お化け屋敷」 「・・・そこに幽霊が出る、と?」 「そう」 「お化け屋敷に本物が出るんならむしろ喜ばしいんじゃないですか? リアリティがあって」 ていうか、作り物か本物か分かんないんじゃないだろうか。 「そうなんだけどね。なんかカップル限定で出るらしくて」 カップルに恨みでもあるんだろうか。 「女の子が逃げちゃって、喧嘩別れしちゃうんだってさ」 「別に女の子が幽霊怖いのは普通のことじゃないですか。そんなんで別れるなんて男の方にも問題が」 大体、お化け屋敷に男女で行くんだから、そんなの想定内なんじゃないだろうか。 むしろ願ったり叶ったりとでも言うか。 だっていちゃつき放題じゃない。見てる方はうざいが。 「でもここのお化け屋敷にカップルで来ると別れるっていう噂が広まっちゃって困ってるんだって。これも人助けだよ」 「いくらもらってるんですか」 「人聞きの悪い」 「そうですね。訂正します。いくらふっかけて、ぼったくるおつもりなんですか」 「ひどいなぁ。彼氏に対して」 「ついに頭沸いたんですか? ・・・ってまさか」 いやな予感が。予感って言うか、確信? 「カップル限定、ね?」 「・・・帰っていいですか」 「幽霊祓ってあげたのになぁ・・・この僕が、タダで」 「いくら払えばいいんですか」 「高いよ?」 「・・・祓えばいいんですね」 「分かってもらえて嬉しいよ。彼女役」 タダより高いものはないってことか、こんちくしょう。 |
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