これがきっと最初で最後の。



恋をしました
報われない
想いを通じあわせてもけして道が重なることのない
他の誰か一人に想いを向けてはならない次代のボスが


恋をしました



その人は



誰よりも美しくて
誰よりもはかなくて
誰よりも聡明で

誰よりも俺を憎む人でした




出会わなかったら
そう意味の無いことを考えました

六道骸と出会えたことはすごく幸せで
満ち足りた気持ちで胸をうめました


溢れてしまうくらいの想いの粒がこぼれ始めたのは初めて出会ってから十年たってから

痛みは体中に回って脳までも優しく犯していき
口からは名前だけでは足りなくなっていく想いの欠片が勝手に零れ落ちていくのです



「骸…骸…」

「好き…大好き…大切…」



完全にしまい込めなくなる日が来ました

袖をぎゅっと掴んで瞳を見つめながら言葉を紡ぎました

周りの空気は冷たくて指先まで冷えていて恐怖と寒さと
どちらのふるえかわかりませんでした



「俺…骸がすきなんだ…大好きなんだ」



きっとそれは時間にして一分も無かったのでしょう
それでもそのわずかな時間は綱吉の小さな心臓を早めるには十分すぎました



「君は…本当にばかなんですね…」



呟かれた言葉とぽたりとおちた涙

綱吉は知っていました六道骸という男が自分に好ましい感情を向けていることを



「口に出さなければこれ以上離れることはなかったのに…沢田綱吉…そう呼ぶのもきっとこれが最後です」



そして綱吉の恋は終わりを告げました

壊れた音に耳をふさいで
溢れた想いは胸の中に鍵をかけてしまい込みました


そして再び歩きだしました



ボンゴレの十代目として





言の葉ございましたら。
あと1000文字。