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【聖剣伝説LOM】

「いつかの日 1」


 柔らかな日差しの中、かちゃりとドアノブを引いて一人の若い少年が家から出てくる。足元の階段をほてほてと下りてきて、軽く伸びをした。きらきらしい朝露たたえた木々の葉っぱ。じんわりとした土と草の混じった匂い。そんな澄んだ早朝の空気に喜びを感じる。随分と久しい感覚に唇を少し綻ばせて、彼は清々しいそれを胸いっぱいに吸い込んだ。
 さて、何をしようか。

「にょわわわ〜!!」

 濃い蜜色のくせのある髪をかき混ぜる。そしてその青い瞳は、納得したと言わんばかりに呆れきっていた。彼はそのままくい、顎を反らせ上に視線をやって豊かに生い茂る緑と、その狭間から見える空を見比べる。そんな爽やかな情景を目にしながらも彼は別のことに想いを馳せ、ため息をついた。
 先ほどの声の主――ティエラは家の周囲にある豊かな自然で一人遊びするのが好きだった。地面をちみちみと這う小さな虫をいつまでも目で追ったり、いつも変わらず側を流れる川できゃあきゃあ言いながら、水と戯れたり。飽きもせず次から次へと遊戯を編み出しては、日が暮れるまで家に帰らない。しかも少し目を離すとすぐいなくなる。たまにはじっとしていれないものか。





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