※現在の拍手御礼はアルル誕生日企画後半6編です



「サタンもルルーも強引だよね、でも楽しかったな」
「ぐぐー」
たらふく御馳走を食べたカーバンクルは幸せそうである。
ちか、と目に光が入った。
遠くで何かが光ったようだ。
「なんだろう?」

光源に佇んでいたのは一体のくまだった。
何も知らない人なら思わず自分の目か頭を疑うであろう。白衣を来たくまが爆発実験を行っている光景など。
「こんにちはりす先輩」
もふもふもこもこした後姿に声をかける。声に気づいたらしいくま顔がくるりとこちらを向いた。
「おおよく来たなアルルくん。いやなに、新薬の開発がライフワークなものでな」
我ながら天才だな、と蛍光色の液体が揺れるフラスコを眺めながら言う。どうやら実験は成功したらしい。
りすくまとりんごとまぐろ、三人はいつも一緒にいる印象があったが今日は違うらしい。思い返すと最近あまり一緒にいるところを見ていない気がする。
そういえば先程の二人が『りせぱ捕獲』などという物騒な話をしていたことを思い出す。丁度いい機会だ、訊いてみようと口を開いた。
「最近二人とあまり一緒にいないみたいだけど・・・」
「うむ、実は最近ますますハグを積極的にするようになってな。その流れで肉球マッサージへと移行するのだよ!」
ずばーん!とでも効果音がつきそうなくらい深刻な顔をされた。多分本人にとってはこのうえなく深刻な悩みなんだろうが、外見のせいであまりシリアスになれないところが難点といえよう。
「確かに、動物って肉球触られると嫌がるよね」
どんな感じなのだろう、肉球を触られるというのは。しかし何をされても愛で片づけるこの人がこれだけ嫌がっているということは、相当気持ち悪いのだろうか。
「わかってくれるか、この悩みを!もふられることに抵抗はないがな、いくら私といえど肉球だけは我慢ならんのだ」
「二人ってスキンシップ過剰だものなあ・・・ボクもさっきやられちゃって」
「なんと、君も二人の被害に合ったのか。同士だな」
あはは、乾いた笑みで応える他ない。元々スキンシップに慣れていない身にあれはキツすぎた。
「一生分のスキンシップをくらいました」
「はっはっは、まあ二人も良かれと思ってやっているんだ。少しくらいは大目にみてやってくれ」
肉球は勘弁だがな、と言うのに相槌を打っておく。少し触りたくなったのは内緒だ。
そうだ、何か思いついたかのようにりすくま先輩が手を打った。
「話を聞いてくれた礼だ、本日開発したばかりの新薬を持って行きたまえ」
フラスコに入っていた蛍光色の怪しい液体を試験管に入れ、コルクで蓋をしたものを渡される。
「りんごくんに頼まれていたものだが・・・なに、調合方法は頭に入っている。また作ればいいことだ」
「ちなみに効果は?」
「危なくなったら使うといい。危険人物に投げつけるのがベストだ」
「あのー、使用方法もいいけど効果は・・・」
「秘密だ。お楽しみは後ほどまでとっておきたまえ」
「は、はあ」
とりあえず受け取ってありがとうを言おうとした瞬間、目の前の草むらががさごそ揺れた。
「むっ!」
急に険しくなった目に、こちらも警戒を露わにして茂みを見る。
一瞬の後に飛び出すように出現したのはくだんの二人組で、その存在を見止めるや否や逃走準備に入るりす先輩。
「りせぱ見ーっけ★」
「今日こそお縄御免!」
「むむ、見つかったか・・・ではな、アルルくん!また会おう」
「待てーっ!」
「意地悪しないでもふらせてくださいよりせぱー★」
騒々しく去って行った三人に、思わず感嘆の溜息が零れ落ちた。
「・・・大変だなあ、あれ毎日やるのって」
「ぐー」







イカレ帽子屋に三月ウサギ、ネムリネズミのお茶会







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