『傷』
(三成×左近)


どうして貴方は無理ばかりするのであろうか?
傷付いていく姿が痛々しい。
俺は貴方の力になりたいのに。
けれども貴方は俺の言葉は聞き届かない。
やっぱり俺は必要ないのか?
ずっと思っていた言葉は口から出る事はない。
どうして貴方はまた傷付いているのか。
「あの、殿…」
「どうした、左近?」
横たわる三成に左近は話かける。
「だから言ったのに…何度もやっても同じだ。無茶をして敵に足元を掬われてからじゃ遅いんですよ、殿っ!!」
「わかっている左近、次の任務は失敗しない。こんな傷、平気だ」
「平気じゃない、無茶をするな殿!!」
「無茶なんかしていない、俺はまだ戦える」
三成は意地をはる。
頑固な三成に左近は溜め息をつく。
「殿、無茶とつっ走るとは違います」
「…………」
「殿は頭が良い、もっと周りの事を考えて、貴方だけの躯ではない。それに俺もいます」
「!!」
「俺はいつも貴方の側にいる」
「左近…」
左近の言葉に三成は涙を流す。
「すまん左近…」
三成は左近を抱き締める。
「もう、無茶しないから」
「そうして下さい殿…」
私は貴方を守ります。
これは祈りのような願い。
貴方自身を大切にして。
無茶をしないで。
殿はもう孤独ではないのだから。
左近はいつまでも三成を抱き締めたのであった。



終わり



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