拍手ありがとうございました!
 拍手お礼↓↓はハトアリ(ペタアリ)で取り敢えず元の世界に戻った設定。
 アリスの独白です。
 多分ネタバレは無い…と思いますが念の為、ハトアリ真相ENDを見た事が無い人は読まないほうがいいかもしれません。
 ネタバレOK!てな方はどうぞー。













 目覚めるとそこは日曜日の午後の庭だった。
 そう。今までのは夢だったのだ。




『Dear ペーター』



 とても長くて、とてもリアルな夢。

 常に銃弾の飛び交う赤い国。物騒で、非常識な世界。
 人を殺す事を何とも思っていない人達とお茶会をしたり、銃撃戦に巻き込まれたりして、いつ死んでもおかしくない状態だった。

 始めは早く目覚めたかったはずなのに、あの世界に愛着を持ってしまった。
 けれど私には目覚めなければいけない理由があった。
 姉さんを置いて、一人で幸せになんてなれない。

『この世界にいればあなたは幸せになれるんです』

 えぇ、そうね。あの世界にいたら幸せになれたかもしれない。ずっと、何にも縛られずに生きていけたのかもしれない。

『あなたの方が先に僕を好きになってくれたんですよ?』

 今なら、あの言葉の意味も分かる。彼はストーカーなどではない。
 彼の言った通り、昔から知っている。確かに私の中には彼がいつも詰まっていた。いつも彼らに追われていた。
 彼らはいつもすぐ近くに居たのだ。

 しかし全ては夢。
 私の中で作り出された物語にすぎないのだ。
 暫くしたら私は夢の内容を全て忘れてしまうだろう。そして、二度と思い出すこともないだろう。

 この庭に今姉は居ない。居るのは私だけ。
 この時間をたった一人で過ごす事になっても、それでも私はこの日曜日の午後を嫌ったりしない。

 あなたは私の頭の中で作られた人物なのかもしれないけれど、
 あの赤い世界は現実には無い幻想なのかもしれないけれど、
 この晴れた、幸せだった時間は本物だから。

 どこに行っても、私があなたを忘れても、あなたは私を見ていてくれるんでしょう?
 傍に、居てくれるんでしょう?

 ねぇ、ペーター。

 きっと私はあなたの事を忘れても、あなたの事を、この時間を愛し続けるわ。







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