ありがとうございました! 拍手小話(1) 『ボクたちの年越し』 ボクたちは碁会所を後にして二人で歩き出した。 「大晦日に男二人なんてホント色気ないよな」 キミはふてくされたように言う。 ボクは少し笑う。 「キミ、クリスマスも同じ事言ってなかった?」 「そうだっけ?」 「うん。確か言ってたよ」 「という事はクリスマスも俺達一緒にいたっていうことだよな」 「ここまでくると腐れ縁もたいしたもんだよ」 「その言葉そっくりそのまま返したいよ」 「おまえが打ち納めしたいっていったんだろ!?」 「キミが負けたままじゃいやだなんて言うからこんな時間に なったんだろう?」 「そういうならおまえだってそうじゃねえか!自分が負けたからって その後何時間打ったと思ってんだよ。そのせいで碁会所 追い出されたんだろう?」 「ボクのせいじゃない!キミが悪い!!」 「俺のせいじゃねえ!おまえが悪い!!」 いつものようにボク達は睨み合う。 その時丁度除夜の鐘が聞こえてきた。 二人とも喧嘩も忘れて聞き入る。 「これで俺たちの今年も決定だな」 「喧嘩と囲碁の一年になりそうだね」 |
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