◆ チャーミング人類 ◆
※某アニメのパロです。人類と交戦中のロボの最前線隊のロイ達。
ドロッセル云たら様風なロボ→ロイ
執事なロボ→ヒューズ
メイド風なロボ→リザ/チャーミング人類→ハボック
※執事だろうがメイドだろうが、ロイについて戦場へ。何でもアリを許せる御方さまは先へどうぞ。苦手な御方はクローズでお願いいたしますm(_ _)m
***
ここは、ロボットと人類が戦っている最前線。
「…チャーミング人類とは、またふざけたネーミングだな」
「そういうなよ、ロイ。気に入った癖によぉ」
「ヒューズうるさい」
「私も大佐が気に入ったのは分かりました」
「リザもうるさい」
「いやいや、俺達が間違ってた。ロイは一目ぼれしちゃったんだよ」
「そうですね、間違えました。一目ぼれしたのはすぐに分かりました、と言うべきでした」
「だから、うるさいと言っている!」
ダンッ!!と強くテーブルを叩きつけた拳を一拍置いて察すっているロイに緊張感が有るのか無いのか疑わしいと思う二人であるが、毎度の光景なので別段溜息も付かずにロイを見つめる。
「いいか!我々は人類と戦争中であり、かつ我々の部隊は最前線にいることを忘れるな!」
「だからよぉ、その最前線でうっかりチャーミング人類を見ちゃって一目惚れしちゃったんだろー」
「む!違ッ…」
「大佐が護衛部隊を押しのけて最前線より前に飛び出した上に敵陣へ土足で踏み込み、うっかり見てしまったのが伝説のチャーミング人類なのですから、一目惚れも恥ずかしいことではありません」
「むむ!違うとッ…」
「ああ、そうだ。ロイ喜べ。あのチャーミング人類の好きなものを聞いて来たぞ」
「何ッ!いつの間に、私よりヒューズの方が親しくなっているのだ!」
「私も聞いてまいりました」
「むむむ!何故だ!!私が執務室にこもって悶々としている間に、お前たちはあいつに会ってきたというのか!会いに行くなら、私も誘わんか!!」
この人は本当に最前線で戦っているという自覚はあるのか?と思う二人だが、やはり毎度の事なので別に溜息をつくことのことではないと話を進める。
「まず、煙草が好きだそうだ」
「…煙草は人類には毒だと聞いたが?」
「ちょっとなら良いんだろ?たぶん」
「『たぶん』とは、いい加減すぎないか、ヒューズ。毒を持っていって嫌われたくないのだが」
「大丈夫、大丈夫、あいつが言ったんだから大丈夫だって」
「それと、大佐。我が軍の司令官も好みだそうです」
「ん?…我が軍の司令官?」
「と言うわけで、煙草を手土産に停戦交渉に行きましょう。話が弾めば、終戦に、そして平和協定も」
「ま、待て、…司令官とは、私の事か?馬鹿をいうな!あいつは男だった!男性タイプの私が好みとか可笑しいだろ!!確か、書物によると、チャーミング人類はボイン好き…女性が好きな筈だ!」
「大佐は、女性タイプより美しいと評判です。大丈夫です。問題ありません。ぐだぐだ言ってないで、早く用意してください」
「よ、用意って…な、何を用意すればいいのだ…こ、交渉であればこのまま行けばいいだろ」
「よくありません。チャーミング人類も一目惚れするように着飾って行きましょう」
「…そんなもの持ってない」
「私が用意しておりますので、さささ一緒に着替えを」
「お、おい…待て、リザ!待てと…」
リザちゃんに引き摺られていくロイを見送ったヒューズは、通販で頼んでおいた煙草のラッピングを始める。
「…チャーミング人類も一目惚れだったと知ったら、ロイの奴驚くだろうなぁ」
ニヤニヤ笑うヒューズは、彼らの出会いが、この泥沼化した戦争を終戦へと導く奇跡になるだろうと確信していた。
お互いの大将が最前線で戦うことを願った意味を知っていれば、彼らが直接出会う機会さえあれば希望はあると思っていた。
「まさか、敵陣に踏み込むとは思ってなかったけどよぉ」
あの時、不用意に敵陣に踏み込んだロイが破壊されてしまっていたら、更なる泥沼化は避けられなかった。
恐らく一目惚れしたのは、チャーミング人類…ハボックが先だったろう。
でなければ、間違いなく破壊されていた。
ロイを破壊しようとした人類を制して話し合いに持ち込んだハボックの先見の目もすごいが、やはりそれ以上にロイに惚れた部分が大きかったと思う。
…あとでリザと一緒にこっそり会いに行った時に、デレデレ顔でロイのことを話すチャーミング人類を見てしまたのだから。
「さてと…俺もやっとグレイシアのところに帰れるな」
止む間の無かった戦争の音が消え、掻き消されていた音が小さく鳴り始めている。
その音に混じって我が軍の司令官殿の声が聞こえてくるのはとても心地よいものだと、今更ながらに知って頬が緩むヒューズだった。
おわり
時代的には、人形のロイたちよりずーっとずーっと後の話しで、某アニメのように人類と交戦中の世界。
ロイとハボックが出会って終戦を迎える。
けれど、機械のロイと人間のハボックの恋がすんなり上手くいくはずもなく、まわりが世話を焼く…という後日談があったり、無かったり…妄想して頂けると助かります(苦笑)