青月






 
温い風は半袖から伸びる腕を撫でる。

また夏の始まり。





梅雨に入ると、その後の暑さの苦しみも忘れて早く空ければいいのに、と思う。せめて、学校が休みなら、と。しかしこの月は祝日さえない。拷問だ。

浜田の肘は低気圧センサーのようなもので、春の間はそれこそ練習予定も立てやすかったが、連日の雨となると無意識であろう肘を押さえる行為が目に付いて堪らない。それが当てつけのように見えるのは、あの時投げ続けさせた監督を止められなかった自分がいるからだ。ともかく梅雨は嫌い。



それはなんとかならないのか、と一度言ったことがあった。浜田は目を見開いた後小さく笑い、それを見たとき、言わなければ良かったと後悔したのだ。なんとかなるならとっくにしている筈だから。

一番焦っていて、状況の打開を望んでいるのはあいつなのに、俺が嘆いてもどうしようもない。慰めは充分に受けただろう、だから俺はもうなにも言わない。

他人が過去に縛り付けるのはやめようと思った。













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詩埜




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