午前四時、まだ誰しも寝ている時間だ。 微かな気配がする、うっすらと目を開けると目があった。 目? 誰か起きているのだろうか?首を捻っても同居人達は寝ている。 もう一度、首を戻す。 男が立っていた、その男がある人物に似ていてカバンの槍を取り出そうと体を起こす。 「スマンが、此処に霧の守護者は在宅か」 「……霧は私」 「そうか十代目ボンゴレの家を知りたいのだが」 「………………」 二代目来る! 「ツッくーん!ご飯よ」 「奈々さんっ奈々さんの声がした」 初代ボンゴレは忘れた頃にやってくる。 どこからともなく現れた初代ボンゴレは、奈々さんに贈るラブソングとかいうのを作詞しているが、母親の前に彼を置いても私には家光さんがとかなんとか言われて玉砕することだろう。 まぁその父親方の先祖な訳だが……。 「ヴェー、綱吉おはよう」 「おはよ」 「所で綱吉、このペンは壊れて居るのか」 取り出したのシャーペンだ。 なんでこんなもん持ってるんだろ? しかも、ペン先が出てない状態で文字を書こうとしている。 「あーほら、その出たとこ押して」 「ここか?オー!ペン先が!」 カチカチとペン先を出して満足そうにノートに向かったと思って居たが……。 「ヴェー!何故書けん」 見ると、シャー芯が全部出ている。 興奮して押しすぎたらしい。 (この人、頭はランボ並なんだろうか?) 自分の先祖には間違いないと感じるが、自分も周りから見たらこんななのだろうか? と思うとなんだか切なくなってくる。 シャーペンの中に余分に芯を入れて、学校へ行った。 その放課後、突然他校生が教室のドアを開けたのでクラスメートは目を丸くしたが綱吉には見知った顔だ。 「あー、骸じゃん」 「山本武か」 「何?何か用事か」 「沢田綱吉は?」 「ツナー骸が用事だってさ」 女子は色めき立って居る、骸は黙って居ればルックスの良い男なので当然なのだがツナは骸の後ろに居る人物に釘付けだ。 オールバックの黒髪に野性的な顔つき、鋭い瞳は肉食獣の様だ。 (XUNXAS!?………じゃないな、みんな骸だけ見てる) 「此処ではなんですから、こちらに」 「オイ、ネビア。此処はなんだ子供だらけじゃないか?託児所か?」 声も野太く低い。 今、銃なんかを出されて金を出せなどと言われたら間違いなくチビる。 恐ろしく強面と、無表情のルックス男(こちらも黙ってるとなかなか怖い)に挟まれてなんとも言えない心地がする。 「此処で良いでしょう、ボンゴレ。君の祖先は揃いも揃ってどうなってるのです!クロームの就寝中に枕元に立つのは女性に対してどうなんです」 「それはすまなかった、まさか霧があんな可憐な娘だとは思わなかったんだ」 (………間違いなくイタリア人だな、この二人) 「全く、マフィアには付き合ってられません!かえ」 「ネビア、そんな事を言うなお前にはプリーモをなんとかして貰わなければ」 「僕まで巻き込むな!」 「骸、骸、そんな大声だすと」 「………失敬」 間違いなく俺と骸には、くっきりとこの野性的な男性(というかクローンXANXUS)が見えて居るが、普通の人間には全く見えて居ない。 雲雀さんみたいに妖精の類を信じる心を持つ人(雲雀さんがそれに該当するという現実は直視したくない)には多少見えるみたいだが……。 しかし、この状況は前にもどこかであったような気がする。 ふと、朝に聞こえたプリーモのヴェーという鳴き声を思い出す。 「もしかして、この人もプリーモと一緒でボンゴレリングの妖精?」 「妖精ではない、番人だ」 こちらは番人か……。 でもその言い方の方がかっこいいな。 「何故、あなたまで出てくる必要が?ボンゴレ二世」 「二世?二世さんって言うの」 「俺はただ、これを渡しに来ただけだ勘違いするな」 ボンゴレ二世さんとやらは、背負って居た荷物を置いて布を取る。 そこには白い箱が積み上がっていた。 「これをプリーモに手渡ししたい」 「なんですか、コレ」 「プリーモの好物だ」 好物………食べ物? 食べ物背負ってたの?この人、思いながら見てるとそれをまたいそいそとしまって背負い直して俺をじっと見てる。 骸はと言えば、顔に早く帰りたいと書いてある。 気持ちは分かるが、今日はうちでご飯でも食べていけばいいよ。 |
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