目が覚めると一人だった。
部屋には空き缶や瓶が何本も散乱し、記憶を辿ろうとすると頭痛に邪魔をされる。
ああ、そうだ。昨日は皆で飲んで飲んで騒いでいたんだ。
ふと時計を見ると11時を回っていた。「……あー、」
今日の会議は何時からだったかしら、なんて惚けている時間はなかった。
大急ぎで最低限の支度を済ませ部屋を飛び出した。
結局、2時間以上の遅刻をした私は会議に参加させてもらえなかった。
これで何度目か分からない遅刻は、今までは減給に留まっていたけれど今日はもう臨界点を突破してしまったらしい。先輩が鬼の形相で私を睨んでいた。
ここをクビになったらどうしようか。
会議に参加出来ない私はヒマを持て余しブラブラしていた。
この姿を見られたらクビは確実ね、なんてどこか他人事のように考えていたら今一番会いたくない人に出会ってしまった。
「やあ」
「お、おはようございます」
その人、ダイゴはいついかなる時でも完璧な人だった。
そんな彼は私のほぼすっぴんの顔を見て苦笑する。
「また寝坊したのかい」
もはやその声には同情すら感じられた。
それが私を苛立たせ、悔しがらせているとも知らず、ダイゴは頭を撫でた。
「今度遅刻したら……って言われてたんじゃないのかい」
「そうですね。私、クビですよね」
クビを言われる前にいっそ辞めてしまおうか。なんて考えていたらキラリと光るダイゴの瞳と目が合った。
「じゃあ僕が新しい就職先を紹介してあげるよ」
どうせろくな就職先じゃない、と承知しながらも話を聞く。
ダイゴの石コレクションの管理なんて言ったら一発殴ってやろう。クビになるならそれぐらいしたって構うまい。
「どんな仕事ですか」
「絶対そこに就職するって約束するなら教えてあげるよ」
3秒考え、頷いた。よっぽどじゃなければ働けるはずだ。
「約束しますよ」
だから早く教えて下さい。
ダイゴはにっこりと笑い、
「僕のお嫁さん」
呆然とする私を置いて歩いて行ってしまった。
My
Honey
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