1.焦がれる

「…………」

気がつけば、また視界に入ってる。いや、あたしが目で追っているのだけれど。

「何、見てんの〜?」

その視界に突如、ピンクが現れ、あたしはビクリと体を揺らす。

「うわびっく……!いやなんでもないよ明日の天気はなんだろなぁって考えてるところにいきなり話しかけられると実にびっくりするじゃないアーチェ」

「………もしかしてぇ、クラース?」

「違いますよまさかそんなわけはないよだってクラースにはミラルドさんがいて二人はそりゃもう相思相愛で誰も入り込むスキはないしだから」

「気がつくと目で追ってるなんて、恋だよ〜恋」

「ち、違うよ…。ほら、だってクラースの格好って変わってるからつい見ちゃうんだよ…」

「あたし達、旅初めて3ヶ月だよぅ?未だに珍しい?しかもクラースと同じユークリッド出身なのに?」

「うぁあ〜!うるさぁいッ!」

「うしし、図星?」

「図星じゃな……!」

「何だ、お前さん達随分騒がしいな」

「…………ッ」

「うしゃしゃしゃ、聞いてよクラース!」

「うぇッ……!?アーチェだめぇー!あたしが自分で言う!あたしクラースに恋い焦がれてるのッ!」

「……………な、」

「うわ〜、言っちゃったよ。自爆?」

「あ、あ、あたし……ッ、ちが、今のは……!えと、えと、」

「愛の告白、でしょ?」

「うるさいアーチェ!えっと、クラースこれは」

「愛の告白、なのか?」

「……やっぱり、クラースもそう思う?実はあたしクラースのこと…。ごめんね、クラースにはミラルドさんがいるのに」

「あ、あぁ…いや、あいつは只の幼なじみでだな…」

「おぉ〜?ってことは脈あり〜?」

「だからアーチェうるさいって!…ううん、無理しなくていいんだ。とりあえずあたしがクラースを好きだってわかってもらいたかっただけ」

「そうか…」

「うん……」

「私はお前さんが嫌いじゃないぞ」

「うん…!」















「ねえ、良かったの?あれじゃクラースとつき合えないよ?」

クラースが去った後ろ姿を見ながら、アーチェが言う。

「うん、いいんだ別に。どうしても叶わない想いもあるじゃない?そんな感じ」

「ほぇ〜。あたしにはわかんないなぁ」

「アーチェはまだ子供だからねッ」

「はぁ〜?歳2個しか変わんないじゃん!」

「へんだ!恋い焦がれてないアーチェにはわかんないのさッッ!」

「何よそれ〜!」

恋をするだけでいい、なんてひどく虚しいかもしれないけれど。それでも、あたしはクラースが好きなんだ。

そう、思った。

お題提供:確かに恋だった様



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