拍手ありがとうございます! 僕たちの行方 〜 出会い編 〜 今日1日の授業が全て終わる 教師が教室から出て行くと同時にクラス内は圧迫から開放された 教室内で友人同士お喋りをするものさっさと部活に行く者はたまた授業から机に伏したままの者まで 学生の放課後とは多種多様で忙しい そんななか黙々と机の中の物をカバンに詰め込む生徒が一人 枢木スザクだ 彼の周りだけは人もおらず静か まるでそこだけが異空間のようだった だがそれも仕方のないことである 日本最後の総理大臣の息子でありながら名誉ブリタニア人 そして容疑がはれたとはいえエリア11の前総督クロヴィス皇子殺害の容疑者だったのだ イレブンからは裏切り者と言われブリタニア人からは信用されず気苦労の絶えない毎日 それは子供社会の学校でもなんら変わりはない だがただ一人…救いと呼べる存在が彼にはいた スザクは手を止めて隣の空席を見つめる 空席の主とは転校初日から仲良くなった きっかけはスザクの一言からだった 「あの、キミ…実はまだ教科書が届いてないんだ。 よかったら見せてくれないかな?」 スザクは自分の持ち物がペンケースだけなのを思い出し授業開始のチャイムが鳴ると同時に隣席のあなたへと声をかける 急な転校だったためかいくらブリタニア帝国第3皇女ユーフェミアのとりはからいとはいえ学園側が用意出来たのは制服だけだった だがスザクとしてはそれだけでもありがたいものだった まさか学校に私服で行くわけにはいかないし軍の服でなんてもってのほかだ 胸中、心底安堵した溜息を吐くと隣席の少女からの返事を待つ 話しかけてみたものの正直なところスザクは良い期待をしていなかった 自分への世間の反応を考えたらこの問いかけも無視 よくて断られるだろうと思っていた だが相手の反応はスザクの予想していたそれとはまったく正反対のものだった 「あ、うん。いいよいいよ!それじゃあ机くっつけよー」 ニコリと笑って快く頷いたあなたは机をくっつけようとさっさとスザクのほうへ椅子と共に机を引っ張る そのテキパキとすすむ移動の作業にはなんの躊躇いもない その様子を驚いた表情で見ているスザクにあなたは首を傾げる 「どしたの?くっつけないの?」 「え?あ、ごめん!」 スザクは慌ててあなたの方へと机を寄せた 机と椅子が奏でる騒がしい音がまるでスザクの慌てぐあいを表しているようだ 「ありがとう、助かったよ」 「ううん。困ったときはお互いさまだもん!」 また自分へと惜しげもなく微笑むあなたにスザクは純粋な好意をもつ まるで太陽みたいな子だとスザクは眩しげに目を細めながらあなたを見つめた 「あ、ねぇねぇ!枢木くん!」 「うん?どうかした?」 授業中のためかいくらか声を抑えたあなたは教科書とχやらyが映し出されるモニターを交互に見るスザクへと話しかけた その声を聞き取ろうとスザクはあなたへと耳を寄せあなたはスザクに伝えようと二人の距離は自然と近くなる 「枢木くんのことスザクって呼んでもいいかな?」 「えっ!?」 思いもよらないあなたの申し出にスザクは普段より大きな声をあげてしまった クラス中から集まる視線 教師は渋い顔つきでスザクを見ると警告するように咳払いをする スザクはバツが悪そうにあやまると授業は速やかに再開された 怒られずにすんだとスザクがホッと溜息を吐くと隣からクスクスという忍び笑いが聞こえてきた スザクの頬に熱が集まる 「そんなに笑わなくても…」 「ゴメンゴメン!あまりにもいい反応だったからさ。…それでどう?ダメかな?」 「え…あ、ああ。もちろん僕はかまわないよ」 急に問いかけられて疑問に思うも直前の話題を思い出しスザクはすぐに返事をした 「本当!?それじゃあこれからよろしくね、スザク!」 微笑みながら握手を求めるあなたにスザクは素直に応じその手を握る 自分より小さくて柔らかなそれにスザクはあなたを異性だと認識をせざる得ない 放れていく手を名残惜しく思いながらスザクは感触を確かめるように握り合ったほうの手を握り締めた 「こちらこそよろしく。…僕も君のこと名前で呼んでいいかな?」 「うん!全然いいよー」 「って、そういえばまだ、君の名前を聞いてなかったよね?」 「私は…」 これが二人の出会い 後に互いは想いを通じあわせ二人の運命は寄り添いあう それはまた別の話にて… |
|