Clap01







まだまだ、まだまだ荒削り。
だけれどその心には無限の可能性を秘めている。
一目見ただけで直観できるその強さに、すこし恐怖さえ感じたこと。今でもはっきりと覚えている。


「初めて会ったときは力の何たるかもわかってない、まして使い方もとんと知らない、ちょっと覚えるとすぐ実践したがる、後先考えず突っ走る、二度三度ならず何度でも繰り返す、こうと決めたら誰の言うことも聞かない……まあ言い出したらキリがないけど、本当に君はやんちゃな少年だったよね」
「……ちょっと待て、今のだけでも散々おれのこと貶してるのにまだあるのか?」
「なんだ、言ってほしいの?」
「いらん!!!」

それが今やこんなにも逞しく、頼もしい存在に成長した。…まあまだ目を離すには早いが。
ここに至るまで彼がたどってきた道のりは決して楽でも、また楽しくもない。その道中にはいくつもの傷跡と、消えていった命がある。皮肉をいえば、それだけのものを背負ってきたからこそ、こんなに目覚ましい成長を遂げたのだともいえる。

「まーでも、おれがここまで強くなったのって時音とかジジイもババアもそうだし、兄貴もそうだけど…アンタの存在もデカイよな、割と」

ものすごく遠回しに礼を伝えてきている彼に、わたしはびっくりしながら笑って否と首を振った。
「良守がここまできたのは、自分自身で頑張ったからでしょう。わたしはなーんにもしてませんよ」

嘘ではない。少なくとも私自身はそう思っている。
いくら周りに良いヘルプがいても、自分で背負って立って歩かなければ、自分の道は誰も歩いてはくれないのだ。良守の歩いてきた道はいばら道だけに、それはなおさらのこと。
道を切り拓きたいと言ったから、それの手助けに道をたがやす道具を揃えてやっただけの話である。

そう、わたしが手伝ったことなど、取るに足らぬほど少しだけ。


それでも感謝を述べてくれる(すごーく遠回しに)少年には、いつまでも傍で支えてやりたいと思わせるだけの人間としての力があふれている。これだけは、良守が生まれもって身につけていた天性のもの。人を憎まず、疑わず、騙らず、信じられる強さは心の底から羨ましい。
それをなくさないでいてほしいと思うから、まだもうちょっとだけ彼の成長を見守っていきたくなる。


「そうそう、そういえば時音ちゃんには許してもらえたの?この前の騒動」
「蒸し返すな!!!」
「あ、まだなんだ。今までで最強に怒ってたもんねー いよいよ口きいてもらえないんじゃないの?」
「うるせー!!!!!」






+++15画漢字で30のお題 13:撮+++

 いまさらですが、何でこのお題にしたのか憶えていません(待て)
 連載のヒロインと同じだと思ってください。
 個人的には最後の4行が一番のお気に入りです(笑)






ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。