※サンジ×人獣ゾロです。ゾロは人間の姿に猫耳・尻尾をくっ付けたような姿です。サンジが本気でサディストなのでご注意下さい。一話完結です。


『歪みゆく美しい世界』



友人が新しく手に入れたペットを披露してくれた。
容姿は極上だが性格に難があり、檻から出せなくて困っているらしい。
「前の飼い主はペニスを食い千切られたらしいぜ」
大金を積んで手に入れた希少種だというのに触れる事もできやしない、と友人がぼやく。
そんなに危険な気性だとわかっていながらなぜ購入したのかと問えば、あまりの美しさに手に入れずにはいられなかったのだという。
確かに、その獣は今まで見たどの固体よりも美しかった。
芽吹いたばかりの瑞々しい新緑を思わせる色合いの頭髪に、ベルベットのような毛並みが見事な漆黒の耳と尾。
細身だが無駄のない筋肉に覆われた四肢は、まるで彫刻の如き完璧なバランスだ。
端整な顔は全体的にシャープな造りで、目鼻立ちはどこか剣があり、視線は恐ろしく鋭い。
だが、その瞳はまるで朝露に濡れた翠玉。
抉り出して宝箱に仕舞いたいほどの美しさだ。
サンジはうっとりと翡翠の瞳を眺めた。




人型の美しい獣が未開の地で発見されたのは今から数年前。
その見目の良さから好事家達のターゲットにされ、乱獲が始まった。
人獣は捕獲されると、高値で流通ルートに乗る。
捕獲された彼らを待つのは、金と権力に塗れた連中のペットという、惨めで憐れな末路だけだ。


緑の獣の前飼い主は、性的な奉仕を強いた結果、男としての象徴を失う嵌めになったらしい。
一命を取り留めたものの、男は獣を手放した。
サンジの友人がその獣を買い取った目的も、前飼い主と同じ性的用途の為である。
しかしその激しすぎる気性故に、いまだ手を出せないのが現状だ。
「俺を呼び出したのはそういう事か」
チラリと友人を仰ぎ見る。
「そういう事。頼むぜ。謝礼は弾むよ」



サンジは人獣を専門に扱う調教師だ。
彼らは麗しい外見に反し、激しい攻撃性を持つ。
そんな獣達を、依頼者の要望に沿った内容で徹底的に調教するのがサンジの仕事だ。
観賞用は、飼い主に対して呻り声を上げたり牙を剥かないように大人しく躾ける。
性交用は、依頼者が望む形で行為が行えるように躾ける。
どちらの場合も共通する躾は人への絶対的服従だ。


「どういったのがお好みだ?」
サンジが問えば、友人は嬉々として語り出す。
「そうだな。男に抱かれる為だけに存在するような淫蕩な身体に仕込んでくれ。自分から誘ってくるくらい淫乱な方がいい」
「アナルは?」
「ドライオーガズムまで覚えさせてくれ」
「了解。フェラチオも?」
「もちろん」
何度か問答を繰り返し、契約は成立した。



緑の獣は檻ごとサンジの自宅兼・仕事場に運び込まれた。
檻に近寄れば、獣は威嚇するように呻り声を上げ攻撃態勢を取る。
セックスを仕込む前にまずは人間に対して服従するように躾ける必要があると判断し、サンジは使い込まれた皮製の鞭を手に取った。
「服従調教とアナル調教の最初は痛い思いをさせちまうが、その後には想像を絶する快楽が待ってるから楽しみにしてな」
人語を理解できない獣は、相変わらず歯を剥き出しにして呻っている。
今までたくさんの人獣達を手懸けてきたが、これほどの上物は初めてだった。
サンジの中の嗜虐心と欲望が全身を駆け巡り、激情を吐き出したいと暴れている。
この美しい獣をこれから痛みと快楽で屈服させるのだと思うだけでペニスが痛いほど脈を打ち始めた。

サンジはこの仕事をビジネスだと割り切っているので、性調教でも決して自身のペニスを挿入に使う事なく、バイブやディルドを用いてきた。
しかし、今回はおそらくそれらを使用する事はないだろう。
鞭で身体と心を徹底的に嬲られた後に、サンジのペニスを受け入れ、体内に精液をたっぷり注がれて鳴く獣は、きっと壮絶な美しさだ。
想像し、サンジの喉がゴクリと鳴る。


肉欲と歓喜で汗ばむ掌で鞭の柄をしっかりと握り締め、獣の収まる檻の扉に手を掛けた。


-完-



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