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おまえにはわない


「・・・あのですね、違ってたらたいへん申し訳ないんですが」
 と妙に改まった口調で遊戯が切り出すのに、バクラは眉をしかめた。
「・・・んだよ、急に殊勝になりやがって。云いたいことがあんならさっさと云え」
 口に咥えたストローを噛みながらそう吐き捨てるようにバクラが云うと、遊戯はううん、だとか唸りながらも正座して、屋上のフェンスに背を預けてだらしなく座るバクラに向き直った。

「・・・もしかしたらバクラくんはボクのことを好きだったりするんでしょうか」

 バクラは盛大にコーヒー牛乳を噴き出した。
「なっ・・・おま・・・ば・・・・・・!! ・・・・・・・・・はああっ!!?」
「わ、バクラくん顔真っ赤」
 咳き込むバクラにハンカチを差し出しながら、驚いたように遊戯は目を丸くした。
 バクラがどれだけ睨みつけようとも何処吹く風で、ねぇどうなの、と真っ直ぐ訊ねるのみだ。
「・・・・・・・・・ッ知るかよ!」
 耐えかねたようにバクラは遊戯から目を逸らして、そっぽを向きながらそう云ったが、髪の間から覗く真っ赤な耳と、しっかりと遊戯のちいさな手を握って放さない掌の温度は雄弁だった。
 遊戯のうれしそうなくすくす笑いを背中で聞きながら、バクラはちくしょう、と毒づいた。


(―――ああチクショウ! 世界でいちばんおまえがすきだよ!!!!)




バク表




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