スキンシップ苦手 Wの場合







皆を眺めてるうちに車は撮影現場のスタジオに到着。

今回の撮影は2人ずつに分かれて撮る事になっている。



組み合わせは、照×舘さま、ふっか×康二、目黒×阿部ちゃん

翔太×私 それから、さっくん×ラウ。



テーマは『仲良し』てなるとスキンシップを要求されそうだなあ・・



メイクと衣装を着て準備万端のペアが、それぞれの撮影スペースに分かれて開始していく。

ふかこじは張り切る康二に文句言いつつも付き合ってるリアコのふっか。

めめあべは何だコレ、カレカノかな?てくらいに雰囲気が完成されてて見てるのが恥ずかしい(



いわだてコンビは入所日同じコンビ、醸し出す雰囲気が大人だ!

のさくラウ撮影を見学しつつ私は翔太の到着を待っている。

撮影が一段落したペアは、先に控室に戻って行く感じ。



「お前これからだっけ」

「蓮と阿部ちゃん撮影お疲れ!私らはラストなの」



声をかけて来たのは目黒と阿部の2人。

ラストにしたのは偶々かもしれないけど待ってるのも緊張するね。

と答えればクスッと阿部は笑み、目黒はふーん?と相槌を打つ。



「あんまり緊張せずに君らしく撮って貰うといいよ」



なんて、現役モデルを務める君に言うのは失礼かな?とはにかむ阿部(あざとい

付き合いの長い阿部にそう言って貰えるのは心強いし嬉しい。



「そんな、凄い安心したし緊張も解けたよ」

「ホント?それなら良かった、ああ見えて翔太は頼れるから安心して」

「ああ見えて・・(笑)」

「蓮、ちょっと小馬鹿にしてる?(笑)」

「何回聞いても昔と今が違い過ぎてさ、でも楽しんで来たらいいんじゃない?」

「珍しく励ましてくれた・・明日は雨かな?」



と言ったら目黒の腕が伸び、脇をくすぐられる。

一応これから撮影だから髪の毛をわしゃわしゃするのは避けてくれたんだろう(多分

2人なりの励ましに背中を押してもらい、阿部からは肩を組んで頭をポンポンされた。



控室に戻るめめあべを見送っているところに翔太が到着。

身長差は1.5㎝、身長が高いSnow Manの中で一番背が近いかな。



スタジオでクッションを投げ合うさくラウを視界に収め

そっちを見たままだが、何となく気になったので翔太へ聞いてみる事にした。



「そう言えば翔太はスキンシップって苦手?」



直球で聞いたら不思議そうな目を向けて来た。

塩顔イケメンの目がこっちに向けられる。

うん、今日もイケメンだわ(誰



翔太は誰かとスキンシップしてる様を見せた事は無い。

映像として残ってる6人時代もあまりメンバーとどうのこうのってのは少なそう。

肩を組んだりは比較的される側だし・・・翔太から行くってのは皆無。

行動とか触れ合うスキンシップじゃなく、言葉でスキンシップしてる感じよ。



でもまあ一応女子とのスキンシップとか大丈夫?という意味合いだと説明。

しかも今回の撮影テーマが『仲良し』

となれば間違いなくスキンシップは必須になりそうだし・・



これを受けた翔太、チラッとさくラウを見た後

掠めるように戻した視線で私を捉え、そうだなぁと口にすると答えてくれた。



「スキンシップにあんまり縁は無いけど苦手じゃないよ」



とまあそんな返答が返って来た。

けど乗り気って感じでも好きだよって感じでもない。

されたら返すけど基本どっちでもいい、ていうB型感。



9人になってからは言葉でのスキンシップは増えてるのかな。

意外と苦手と言ってる照から肩に手を置かれたりはしてるね



阿部ちゃんとも言葉での絡みはあるかな、互いに辛辣で笑えるw

うーん、基本やっぱ肩に手をお置かれたりするくらいで

メンバーとは言葉でのスキンシップが殆どかな。



翔太は基本全体をクールに見渡して(偶にバブいけど)

時々見事なツッコミを入れたりと、会話に動き?を齎す役割だ。

話し合いの時も和気藹々とした中に適度なスパイスを加え、発言も正直で真っすぐ。



皆とのスキンシップは少ないから女の私とは更に無い。

まあそれは私が人見知りしてるってのもあるけども。



仮に今回撮る事になったら・・・えーと

次はどう聞こうか考えあぐねていたら

スタッフとカメラマンさんからスタンバイするよう言われる。



はーいと答え、2人してさくラウとハイタッチしながら入れ替わった。

宜しくお願いします、とカメラマンさんに挨拶。

セットに造られているのはどこかの街並み。



小道具なのかメンカラの青いビニール傘とコバルトブルーの傘がある。

後は一応雨具みたいなものも用意されていた。



「今回のテーマは『仲良し』先ずは自分達なりの仲良しを表現してみて」



とセットに入るなりカメラマンさんからの注文が飛んで来た。

これらの小道具を好きに使ってみて構わないよと。

まあ兎に角指示は指示だ、取り敢えずポーズを取ってみるしかない。



「うーん、傘差して歩いてる風とかかな無難に。」

「良いんじゃない?やってみよっか」

「相合傘とかしたら翔太のファンに怒られちゃうかなww」

「はははそれは無くない?(笑)相合傘くらいじゃ有り得んわ~」

「どうかなあ、一応やってみるね」



写真に会話は残らないので翔太に聞いたり確認しながらポーズをキメていく。

青い傘を差した翔太の横に並んだり、長靴履いたのを撮って貰ったりと比較的楽しく進む。



雨が降ってるていで傘を持たない方の掌を傘から出し、降ってるのか確認して見たり。

傘の代わりに雨具を着込み、片方を迎えに来たよ的なポーズで撮ったり貰ったりした。

粛々と進む撮影、やっぱお互いに緊張してるのか分からないが兎に角静か。



静かな雰囲気で撮影が進んでたのは照や宮舘も同じだが

彼らの場合は同性だし6人時代から培ってきた絆もある。

全く知らない仲でもなければ遠慮し合ってる訳でもない・・



でも私と翔太は9人時代になり初めてそこで互いを知ったようなものだ。

多少バックで共演した事はあれど、仲を深めた訳でもない。

滝沢歌舞伎でも共演はしたが、あの頃はSnow Manとと言うより

仲良くなったのは寧ろ同じ代役繋がりで知り合った蓮の方だしなあ・・・



どうしようかな、仕事だし別にそこまで気にしなくても良いんだろうけど気になる。

退屈だとか思われてたらどうしよう・・・心配だ。

何か話題無いかな!と内心違う緊張でいっぱいの私へ、不意に翔太が囁いた。



「――そういえば、さっきの佐久間との撮影めっちゃ盛り上がってたじゃん」



え?



てかやけに声がクリアに聞こえた。

美声と名高い渡辺翔太の声がめっちゃ間近から聞こえる。



その理由はすぐ分かった。

淡々と撮影を進めていたのだが考え事から意識を戻すと

翔太の手が私の右肩に乗せられ、目線を上げたら目と鼻の先に塩顔イケメンの顔がある。



「ふえ?」

「佐久間とはあんなに楽しそうにしてたのに俺とは何か違うの何で?」



と思いの外真顔で聞いてくる今の状況を説明すると

街並み風のセットに置かれたベンチに2人で腰掛けてる感じですな。

しかも器用な事に、カメラにポージングはしたままなんですよねー・・・



傘を開き、自分達の前に翳してはローアングルで構えるカメラから隠れるようにしてみたり

雨具はもう着たまま撮ってるんだけど、敢えてその雨具のファスナーを下げ

翔太が雨具を着せてくれてる感じのポーズをしたり?



おい器用だな渡辺翔太?



しかも今聞く事かね?

質問も答え難い内容だしさ・・

今更だがメンバーとの撮影は同じスタジオ内でやってるから見れるんだわ。



つまりさっきさっくんと撮ってるキッチンのやつも見学してたのね。

色々メンバーとの撮影はして来たけど、指摘されたりしなかったから吃驚よ。



「楽しかったのは確かだけど・・逆に翔太、私とで退屈になってたらごめん;」

「?どして俺が退屈だとか感じてると思うの」

「だって静かになっちゃってるし・・・・」

「2人ともいいね!ラスト1枚もっとくっついてみようか」

「くっつくんですか・・!?」

「はーい」



ある程度良い写真が撮れたのか、ラストの注文が入った。

ノッて来たカメラマンさんからとんでも注文をぶっ込まれる。

しかも私らの会話をぶった切る感じでの指示。



私は女性初のジャニーズ、謂わば¨ファンに最も近いメンバー¨の代表でもある。

ファンに代わり、スノ担が1番望んでそうな距離感で撮るのも役目・・・!



これはモデルとしてのキャリアを見せる時・・

ファン達がどんな近さで彼らと写真を撮りたいかを体現せねば!

と意気込みながらも読めない翔太の発言が気になる。



「退屈とかじゃないし別に俺、自分のファンからどう思われても平気だよ」

「え?それどういう意味」

「こういう意味」



突然のフリ?に理解が追い付かない○○。

その間もカメラマンはカメラを構えて私達を見守っている。



発言自体に説明もないから理解も遅れてしまう。

静かになっちゃってる理由が、どう思われても平気、に繋がるの??



カメラマンの要望、もっとくっついてみようかに応えるべく

ベンチから立ち上がった翔太は、つられて立とうとした私を制すと

傘を片手に高い位置から私へ手を差し伸べた。



「俺ちょっと佐久間に嫉妬してたわ」

「な、え?なんで?」



差し出された手におずおずと手を乗せると

ぎゅっと握られてその場に立ち上がらせられる。

宮舘とはセットの窓ガラスを隔てての接近だったが



今回はその隔たりもなく直で間近に翔太が立っている。

ちけぇよ翔太のファンには確実に殺されるよお



一歩でも踏み出したら抱き着けそうな距離での会話は続いた。

少しぶっきらぼうに話し始める翔太からは吃驚発言が続くのである。

嫉妬してたとかえ?なに?デレ期なの??(違



「お前に緊張させたりしないし笑顔ばっか引き出せてるから悔しいじゃん何か」

「まあ確かにリラックスは出来たかな」

「うわっそれ腹立つ、煽るねえ○○俺も受けて立つわ」

「うん??」



実際佐久間との撮影は今までにないくらい楽しかったしリラックスしてたと思う。

自分でも自覚はある、が、それを妬いてたとかパニックパニック。



これファンの子が言われたりしたら卒倒しちゃいそうね!

事実を返したら余計なんか火をつけたみたい??煽ったつもりはない。



立たせた○○に対し、下げていた両腕を上げると

背中に回すように動いた翔太、まあ普通にハグかな?と思ってたが

普通の事をしないのがB型でありまして、何かを潜らせるような仕草を追加。



取り敢えず何かソフトだけど確実に私は翔太の方へ引き寄せられた。

ただ何か背中にあたるものから体温を感じない。

え?何があてられてるの??と考える目の前に見える翔太の服。

それからこんな声が響いて来た。



「こんな構図女の子とじゃなきゃやらんわー」

「!?」



カラカラと笑う翔太はちょっと子供っぽい。

が、やってる事は子供ではない27歳の男性そのもの・・??

どんな構図かと言うと、抱き寄られてはいるんだがその抱き寄せ方がね・・・



後ろ手に回した片手で傘をの柄を握り、もう片方の手で傘の登頂部分を持って

傘の布部分を使って翔太は私を抱き寄せていたのである。

何コレ!普通に抱き寄せられるより恥ずかしく感じるんだが!!?



落ち着こう私、ジャニーズあるあるな構成でしょ!

過去誌じゃあSnow Manの皆も中々近い写真撮ってたし!



予想外過ぎる翔太の行動にドキがムネムネな私やスタッフさん達。

それでも何とか照れるのを我慢しつつ、抱き寄せられるままカチコチ。

何とかお道化た感じに表情を作り、抱き締め返しはせず両手は前に突き出す。



「ずっとこんな写真撮ってみたかったんだよね~」

「そそそそそれは良かった」

「てか何緊張してんだよ俺としてはしてやったりだけどさ(笑)」

「全渡辺担を敵に回した写真撮られて生きた心地がしません!」

「ダイジョブだよダイジョブ、俺がそんな事させねぇし」

「その言葉信じるよ?」

「信じろよ、だからちゃんと抱き締め返せ」

「ヒョエエエ」



言うや少しだけ顔を寄せて来た渡辺翔太。

いつもの5歳児どこ行った!!?



驚きで目を見開いてしまった私を見て笑う翔太。

意味深な言葉がぐるぐると脳内を駆け巡る。



軽く恥ずかしさのピークに達した私。

だってこれ傍から聞いたら口説き文句にしか聞こえなくないか!?

終始カメラマンさんやマネージャーはニヤニヤして見てるし



誰か止めなさいよwww



何とか抱き締め返し耐えかねた私は脱兎の如く控室へと戻るのだった。

このポーズのまま撮られてたらビジネスを忘れそうで(笑)



現場のスタッフさんら曰く、最高に良い写真が撮れたよ!

との事だったが、その日1日私はずっと騒がしい心臓の音に悩まされる事となった。




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