ゆきのおもいで




明け方、やけに寒い。
真っ暗な空間。
布団の中でもそもそと動くと、隣の友人が起きてしまったらしい。
目が合う。
青い瞳におれが映る。

「‥今日、寒くない?」
「雪が降るからな。」
「‥ゆき?」

そう言われて思い出すのは。





どんよりとした灰色の空。

ちらちらと白いものが、風のカタチを描いて舞う。

手が伸びる。

多分自分の手。

白い粉が付くかな。

雪は指の間を縫い、やっぱり風のカタチだけを描いて抜けた。




何処で見たんだろう。
雪は初めての筈なのに。

「ねぇ、ゼロ。ゼロは雪を見た事ある?」
「ある。」

友人は眠たそうに目を半分閉じた。
まだ明け方だからね。おれも眠いよ。
あぁ、でも。
雪、見た事あるんだ。
おれはゼロの頬に触れて、もう一度尋ねる。

「どんな感じだった?」
「‥冷たくて、カタイ。」
「‥‥。」

カタイ?
雪はふわふわじゃ無いの?
産地に寄るのかな。
もいちど揺すって聞くと抱きすくめられた。
白い、水の味、色んな色になる、とける、かたまる。
囁いて付け足された雪の情報。
ゼロの情報は端的だ。
雪の日の思い出は無いのかな。

瞼が重い。
このまま眠れば、起きた頃には沢山雪が振ってるだろう。


ねぇゼロ。

思い出を作ろうか。
ゼロと二人の思い出。
雪を見れば思い出すような。

君の姿は雪にとても合う気がする。

だけど君の記憶に雪とおれを残すには、どうすれば良いだろう。

そんな事をとろとろと考えながら。
さっきよりゼロにひっついて、おれはまた眠りに堕ちた。




----------------

拍手ありがとうございます!
拙いサイトですがこれからも頑張ります!!



ついでに一言あればどうぞ。徒然日記にてお返事させて頂きます。匿名希望の方は☆、返信のいらない方は★を最初につけて下さい。
お名前 URL
メッセージ
あと1000文字。お名前、URLは未記入可。