瞳の奥に想い描くのは、あの人の姿。

焦がれる、何よりも…誰よりも強く……。

あの人の姿を、求めて、求めて…。



夜中に目が覚めると、隣に居たハズの彼の姿が無くて…酷く動揺した。

彼はどこに言ったのか、一体何をしに行ったのか…。

それが心配で心配で、堪らなくて。


あの人の様に、強くて逞しい人ならば、心配なんて無用だろう…と他の人なら思うだろうけれど。

俺は、怖くて、仕方なくて。

居ても立っても居られなくて、剣を片手に天幕を飛び出した。


あの人の姿を探して、一体…どこへ行ったのかと。

こうやって動揺を見せる俺の方が、ずっと危なっかしいと言われてしまいそうだけれど、でも。

それでも、俺はこの衝動を抑えられないから。



満月の光に照らされて、世界は薄蒼い光に満たされている。

その光に照らされて、白い花が咲き乱れている。

小さく並んだその花の群れ、丘の向こうに、人影を見つけた。

それが、目的の人物だと分かって…俺は酷く安心したんだ。



「ウォーリア!!」

俺の声に振り返ってくれた貴方は、月光に照らされて、この世のモノとは思えない程に、美しく。

強く、頼りになるその存在が…その光の中に消えてしまいそうで、怖くて。

俺は…貴方に影がある事に、酷く安堵したんだ。



11.鈴蘭 ~ 君影 ~



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