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繋がっていないようで繋がったお話になっているので、興味のないCPにもざっと目を通して頂ければ幸いです。
お題は青い5つのお題からお借りしました。





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01.青い涙





「頂きます」

雲一つのない穏やかな平日の昼下がり。
柳生比呂士と仁王雅治は、揃って弁当を前にして食事開始の際の挨拶をお行儀良くした。
幾グループかがある中、彼等は二人でフェンスにもたれておおよそ運動部に属する一般的中学生男子が腹を満たし、その後のの活動に足るだけの量の昼食を貪る。
一人は上品に。
一人は気怠げに。

「良いお天気ですね」
「まったく、部活日和じゃ」
「暑いくらいです」
「一回、雨でも降りゃあ涼しくなるんに」

彼らは溜め息を吐きながら恨みがましく青く透き通った空を見上げた。

「降りそうも、無いですね…」

憎たらしいほどに美しい空に柳生は思わず苦笑いを浮かべる。
その様子に仁王はげんなりとして小さく呻いた。
水色のお空からはお水が降る気配は微塵も感じられない。
あああ。
食欲も失せるし暑さのせいで最早しょうもない事にしか脳みそを回転させられない。
何故なら真っ当な事を考えるにはそれに相当するだけのエネルギーを要するからだ。

「あぁ、空が青い。水色の空……」

ぼそぼそと呟いてから仁王はハタと考える。
そういえば、薄青色の事を何故一般的に『水色』と言うのだろうか。
もちろん空色と称する事もあるが、大衆的には水色と呼ぶ方が広く知れ渡っている。
しかし空と言う物は色という概念が生まれる前からあるべくして存在する。
水は透明である。
ならば何故人は水を空と同じ色で表現するのだろうか?

「今なら」

こんな青々とした空の下、雨が降ったのならそれはおそらく「空色」の水。
水色の水が降るように見えるであろうに。
その時隣で黙々と弁当を食べていた柳生が小さく、あ、と声をあげた。

「どうした?」
「今、雨が降ったような気がして」
「なして?」
「頬に、冷たいものが当たったように思えたので」

どれ、と思い、柳生の顔をまじまじと見つめると、そこには確かに一滴の水が存在した。
それを親指でそっと拭ってやりながら、仁王は、ああ涙のようだなと思った。
そうして、仁王は「彼なら今日の空から零れ落ちた場違いな美しい青い雨のように透明な青い涙を流すのかも知れない」と思った。
ぼんやりと考え込みながら、仁王はいつのまにやら自分の手から滑り落ちていた箸についぞ気が付かなかった。


そんなぼんやりして虚ろな目で、しかし薄ら笑いを浮かべながら自分の方を眺めている仁王を前に、柳生はゴクリと生唾を飲み込んだ。
危ない。
この炎天下のもと、長時間放置しておいたら間違いなく弁当も仁王の頭も傷み腐る事だろう。
もしかしたらもう仁王の頭に関しては既に腐ってしまって手遅れかも知れないが。
柳生は彼が取り落とした箸を今一度手渡してやってから食事の再開を促した。

「早く、食べなくては」





END+++++






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