拍手ありがとうございました! 次から短いですが、小説を載せています。 4月某日、雨。
僕は、大きなペットを拾った。 「あなた、人ん家の前で何してんですか」 今、僕の目の前に一人の男がうずくまっている。それも人ん家の前で。 傘も差していないから全身ずぶ濡れで、ブランドとか良く知らない僕でも一目で良い物だと分かる黒いコートは、水を吸って余計重たく見えた。 男は僕の声に反応してゆっくりと顔を上げた。 黒髪に琥珀色の瞳。顔は文句なしの男前。だけどその顔には生気は無かった。 「どうでもいいですけど、こんな所に居たら邪魔だし、あなたも風邪引きますよ。さっさと帰ったらどうです?」 そう言って僕は男の前を通り過ぎようとした。が、僕の足は進まなかった。 何故なら男が僕のレインコートの裾を掴んでいたから。 「……なにか?」 「……君は、ここの家の子?」 不審そうに尋ねる僕に、男は初めて声を発した。質問には答えてないけど。 その声は低く掠れたバリトンで、彼にはぴったりな声だと僕は思った。 「そうですけど。何かうちに用ですか?」 男はしばらく視線をさ迷わせた後、とんでもない事を言い出した。 「君、俺を拾ってくんない?」 4月某日、雨。 僕は大きなペットを拾った。 名前は黒崎京介。それ以外は何も分からない。 面倒なことは大嫌いだけど、拾ってしまったものは仕方がない。 幸い両親は居ないし、最後まで責任を持って面倒を見ることにする。 |
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