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シーソーゲーム設定でハムロクinネズミーランド

4:嫉妬!



今さっきまで自ら手を繋いできたというのに、スプラッシュマウンテンからおりたニールはグラハムから拳一つ分距離をおいて歩いていた。どうやら、思わずとはいえ抱き着いてしまったのが相当恥ずかしかったらしい。
手持ち無沙汰な様子でいまだ湿り気を帯びている髪を指先でいじり、居たたまれなさそうに歩を進めている。
その様子を横目で眺めながらグラハムはくすりと笑った。ここまで意識されると微笑ましいとしか言えない。

「ニール」

すっと手を差し出す。隣に立つニールは目を丸くさせると、あからさまにぱっと頬を赤く染めさせた。
いくら買うなと止めても結局あの写真はグラハムに買われてしまい、今さらなかったことにしようと思っても最早どうしようもない。
ちら、とグラハムを見る。グラハムは満足げに笑っており、普段以上のきれいで爽やかな笑顔をしていた。
ニールはうっと口を引き結び目をそらす。彼のその笑顔には滅法弱かった。それでも己の中の矜持やら何やらが彼の手を取ることを拒んでおり、素直になりきれない。
するとグラハムは手を戻すことなく、逆にニールの手を取って歩き出した。

「あ、っちょ」
「次はどこへ行こうか」

パンフレットを広げるグラハムの表情は穏やかだ。
ニールはぐっと口を閉ざし。

「……ホーンテッドマンション」
「了解した」

すたすたと手を引くように前を歩くニールの耳は真っ赤だ。
言い捨てるような台詞にグラハムは笑みをこぼし、そのあとに続いた。




* * *




ホーンテッドマンションへ向かう最中のことだった。羞恥心も薄れ、グラハムの隣を歩いていたニールはぴたりと足を止めた。
突然のことにグラハムは不思議そうに彼女を見る。見ようとしたその瞬間、歩みを止めた張本人であるニールが彼の腕をつかみ、ずいっと顔を寄せた。
びっくりして目を瞬かせるグラハムの眼前には、うっすらと頬を紅潮させた愛しい人の姿。かわいいなんて思っていると、その人は珍しくはしゃぐような声をあげた。

「グラハムあれ見ろ、あれっ!」
「む?」

元気良く指差す先。
そこには子どもたちに囲まれたマスコットキャラクターがいた。
きぐるみがコミカルな動きを見せ、入場者と握手やハグを交わしながら記念写真をしている。遊園地でよく見る光景だ。
きぐるみを指差してきらきらと目を輝かせるニールはまるで子どもで。普段軍でクールに振る舞うことの多い彼女からすると滅多にお目にかかれない光景である。
そのギャップに笑みがこぼれた。

小さな人だかりに混じった二人は、記念写真を撮ろうとする人の列に並んで順番を待った。
そしてとうとうニールたちの番となった時。

「…! か、かわっ…!」

初めて間近できぐるみのマスコットキャラクターを見たのだろうか、ニールは感動しきっており、その感動のままぎゅーっときぐるみに抱きついた。突然の行動に多少驚いたグラハムだが、最愛の恋人の子どもっぽい仕草に思わず口元が緩む。
さぁ写真を撮ろうかと端末を持ったグラハムは、しかし次の光景に口元をひきつらせた。
ニールがぎゅーっと抱きついているきぐるみが、抱き返すようにニールを抱きしめていたのだ。
いくら可愛らしいマスコットキャラクターとはいえ、その中には「人」が入っているわけで。しかもきぐるみという極めて体力の必要な仕事をしているのは大方男性であろう。
幾度目の説明になるかは分からないが、グラハムは我慢弱い男である。

「グラハム!早く写真、」
「ニール!」

そんな様を黙って見ていることなどできないグラハムは、いまだきぐるみに抱きついているニールの手をむんずと掴んで人だかりから離れた。
突然手を取られて連れて行かれたニールも驚嘆していたが、なによりきぐるみ役をしていた男性の方がよほど驚いたことだろう。

その後グラハムの嫉妬を直に受けたニールは、きぐるみと写真を撮れる絶好のチャンスをぶち壊されたと言って右ストレートをかましていた。






次回に続く



[2009]



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