※死ネタです。
苦手な人は御免なさい。
恋しい名前を叫んで。
君の名を叫び続けて。
それで君が還って来てくれるなら‥どんなに良かったか。
【月の華、夢の傷跡】
最期に向けられたのは、安らかな笑みと。
「───アレン」
あれ程欲してた筈の僕の名前を呼ぶ声。
嬉しい筈なのに、嬉しい筈なのに、涙が溢れて止まらないのは別れが悲しいから。
もうすぐこの声も、表情も、総て目の前から消えてしまうから‥。
「泣くな」
そんな君はぶっきらぼうに、だけどその目の奥には悲し気な色を宿して。
それももうすぐ消える。
消えて、終まう。
(眠らないで‥)
逝かないで。
逝かないで。
僕一人置いて逝かないで。
こんなにも悲しくて。
こんなにも哀しくて。
こんなにも愛しいのに‥。
もうすぐ君は僕の手の届かない所へ逝ってしまう。
「っ‥‥!」
じわり、と溢れる涙は後から後から滲み出し、頬を伝い落ちる。
それを拭う事もせずに、只々一心に向ける視線。
その、想いの先を何一つ繋げずに───‥。
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