拍手ありがとうございました!

続きにお礼小話のっけてます。
ギアスで『山田/太郎/ものがたり』のパロです。
これにて完結!



だからこそ幸福な日々





1.ブリタニア旅行始末編



気が付けば日本へ帰る飛行機に乗っていた。
ルルーシュのブリタニア旅行を一言でまとめるのならそれ以上は何も無い。兄達が用意してくれた大学での特別講義も、家族揃って行った 祖父の墓参りも、ルルーシュは一向に身が入らず淡々とこなしていくだけで、常に上の空だった。そのままぼんやり過ごしていたら、 あっという間に時が経って旅行が終わっていたのだから。
原因が何かは明らかである。皇帝からのお招きを受けて参加したパーティーの最中、ルルーシュは多勢が見ている中でスザクにとんでも ない事をされてしまった。それを思い出すだけで顔に熱が集まり、何をしようにも落ち着かない気持ちになってしまう。彼の頭の中は その事で一杯一杯で、それ以外の事を考える許容量など、もういくらも残っていないのだ。

あの後のことは記憶が曖昧で、ただただ呆然としていたように思う。唇を離した後に幼い少女や青年の喚き声が聞こえたような気がするが、 もはやそのどれもがどうでも良くなっていたルルーシュの視界には、心配そうにこちらを覗き込むスザクの顔しか映っていなかった。 驚きに腰を抜かしたルルーシュがその場で崩れ落ちそうになるのを慌てて支え、彼は不安そうに声を掛けてきた。
「大丈夫?」
「・・・全然大丈夫じゃない。」
ルルーシュがそう答えると、彼は何故か申し訳なさそうに顔を歪めて謝罪の言葉を口にした。何度も何度も。
「・・・ごめんね、君の気持ちを考えずに勝手にこんな事・・・。ごめんね、ルルーシュ、本当にごめん・・・。」
自分の身に起きた出来事を頭の中で処理しきれず、スザクの言葉をぼんやりとしたまま受け取っただけのルルーシュはそれに対して何も 答える事ができなかった。後にそれが失敗だったと知るのだが、この時はそんな事を考える余裕もない状態なのである。その後、スザクは 放心状態のルルーシュを休憩室へと連れて行き、そこで彼を休ませるとそれきり姿を現す事はなかった。翌日からはそれぞれの 予定があったために全く顔をつき合わせる機会がなく、ルルーシュはそのままブリタニアを去る事になったのだ。
あんな事をして、スザクは一体どんな気持ちでブリタニアでの日々を過ごしていたのだろう。ルルーシュはずっとそんな事を考えながら 毎日を過ごしていた。次に彼に会う時は一体どんな顔をすれば良いのか。一体何を話すべきなのか。 分からなくて戸惑うばかりだ。 彼もこんな思いを抱えて日本へ帰るのだろうか――――想像したら何だか不思議と気恥ずかしかった。
『ずっと僕の傍にいて。』
スザクはあの時そう言った。この言葉の解釈を、今更迷う余地はない。もういい加減に答えを出す時が来たのだろうと悟り、 こうしてルルーシュのブリタニア旅行は終わりを告げたのだった。

―――――が。



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